「ホットペッパーに加入したら予約が増えた。でも、なぜか月末に手元のお金が増えていない」
「SNSを頑張って更新しているが、費用対効果がよくわからないまま続けている」
「チラシもクーポンもグルメサイトも…気がつけば集客費が積み重なって利益を圧迫している」
「結局のところ、広告費は売上の何%までなら使って大丈夫なの?」
飲食店を運営されている方から、こうしたご相談をよくいただきます。
集客に投資すること自体は間違いではありません。問題は、「いくらまでかけていいか」の上限を決めないまま、感覚で動いていることです。
広告費や販促費は、「売上の○%を目安に考える」と説明されることがあります。たしかに、ざっくりした参考値としては便利です。
しかし、実際の経営判断においてはそれだけでは不十分です。なぜなら、売上高には食材原価として先に出ていくお金も含まれており、同じ売上でも、業態や原価率によって“自由に使えるお金”の大きさが違うからです。
では本当に見るべき数字は何なのか?その答えは、売上から食材原価を引いた後に残る「粗利益高」です。
本記事では、1960年代にアメリカから日本に伝わったチェーンストア理論をルーツに持ち、当社が飲食店向けの経営管理に取り入れている「分配率コントロール」の考え方をベースに、集客コストの上限を粗利益高ベースの数字(販促分配率)で決める管理手法を紹介。広告費を「売上の何%」で考える一般論から一歩進めた、利益を残すための集客投資の判断軸を、飲食店の実務に沿って整理していきます。
分配率コントロールの詳細な解説はこちらの記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。
この記事のポイント
- 「売上の5〜10%」という目安を粗利益高に換算すると何%になるか
- 「販促分配率」の計算式と参考目安(粗利益高の3〜8%)および利潤分配率を先に確保する考え方
- グルメサイト掲載料・チラシ・クーポン割引をまとめて把握する方法
- 月商300万円を例にした販促分配率のシミュレーション3ケース
- 「1円の販促費で何円の粗利益高を生むか」という費用対効果の考え方
飲食店の集客費用、「感覚」と「なんとなく」が利益を削っている
飲食店の集客費用が管理しにくい理由は、費用の全体像が見えにくいことにあります。
グルメサイトの月額掲載料は毎月自動で引き落とされます。チラシ・ポスティング費はシーズンごとに変動します。SNS広告費は少額ながら毎月積み重なります。そしてクーポン配布や割引実施は、「売上の減少」という形で現れるため、費用として意識されないまま集計から漏れることが多いのです。
これらをバラバラに把握していると、「今月の集客費用の合計はいくらか?」という問いに即答できません。即答できなければ、「いくらまで使っていいか」の判断もできません。「なんとなくかけていて、なんとなく払っている」状態が続くと、集客は増えても利益が残らない——という状況が生まれます。
「売上の5〜10%」という目安の落とし穴

飲食業界では、広告費の目安として「月間売上の5〜10%程度」という水準が参照されることがあります。しかしこの数字は売上高を基準に置いた場合の目安であり、売上から食材費を支払った後に残り、経費の支払原資にあたる「粗利益高」を基準にすると、実態はかなり変わります。
日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査(飲食店・宿泊業)2023年度版」によると、一般飲食店の売上高総利益率(粗利率)は概ね60〜70%が平均水準とされています。
📖 出典:🔗 日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査(飲食店・宿泊業)2023年度版」 データPDF
例えば、月商300万円・原価率35%(粗利率65%)のお店で考えてみます。
粗利益高 = 300万円 × 65% = 195万円
| 広告費の水準 | 月額 | 売上比 | 粗利益高に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 売上の3% | 9万円 | 3% | 約4.6% |
| 売上の5% | 15万円 | 5% | 約7.7% |
| 売上の8% | 24万円 | 8% | 約12.3% |
| 売上の10% | 30万円 | 10% | 約15.4% |
「売上の5%だから問題ない」と感じていた15万円の広告費が、粗利益高に対する割合で見ると7.7%にのぼります。「売上の8%」なら粗利益高の12.3%——人件費・家賃・光熱費など他の経費も同じ粗利益高から支払われることを考えると、影響の大きさが見えてきます。
経費のコントロールにおいて大切なのは「売上の何%か」ではなく、「粗利益高の何%を集客に使っているか」を把握することです。
「販促分配率」とは何か——利益を先に確保してから経費を配分する発想
分配率コントロールとは、月々の粗利益高を「限られたパイ」として捉え、そのパイを利益と4つの経費カテゴリに分けて管理する考え方です。
この手法の根底にある発想は、多くの経営者が自然と身につけている「経費の使い方の順序」を意識的に入れ替えることにあります。
多くの場合、経営者は「今月の売上から仕入れ・人件費・家賃などの経費を支払って、残ったものが利益になる」という流れで月次を振り返ります。この場合、利益の多寡は月が終わってみるまでわかりません。
分配率コントロールでは、この順序を逆にします。月初の段階で「見込まれる粗利益高のうち○%を利益として残す」という目標を先に決め、残りのパイを4つの経費カテゴリに分けて「それぞれいくらまで使って良いか」予算決めして配分します。利益を「結果として残るもの」ではなく、「最初に確保するもの」として位置づける——この発想の転換が、分配率コントロールの起点です。
構造のイメージ
粗利益高(100%)
└ まず確保:利潤分配率(目安:20%前後)
└ 残りを配分:経費(残り約80%を4区分で管理)
利益を先に取り分けてから経費を配分する——この「順序の逆転」が、経営を安定させる分配率コントロールの本質的な発想です。
※粗利益高を「1つのパイ」とし、まず利益を確保してから、残りの範囲内で経費(労働・設備・販促・管理)を配分する考え方
経費の4区分は次のとおりです。
| 経費の区分 | 含まれる主な経費 | 分配率の計算式 |
|---|---|---|
| ①労働分配率 | 給与・役員報酬・パート賃金・社会保険料 | 人件費 ÷ 粗利益高 × 100 |
| ②設備分配率 | 家賃・設備リース料・減価償却費・修繕費 | 設備費 ÷ 粗利益高 × 100 |
| ③販促分配率 | 広告宣伝費・グルメサイト掲載料・チラシ・SNS広告費 | 販促費 ÷ 粗利益高 × 100 |
| ④管理分配率 | 水道光熱費・通信費・消耗品費・専門家報酬 | 管理費 ÷ 粗利益高 × 100 |
4つの分配率の合計 ≦ 100%
経費が粗利益高の範囲内に収まっていれば、営業赤字にはなりません。
さらに合計を80%以内に目標設定することで、粗利益高の20%を営業利益として先取りする構造が実現します。
販促分配率の計算式と参考値
販促分配率(%)= 販促費合計(円)÷ 粗利益高(円)× 100
販促分配率の目安は一律ではありません。あえて議論の出発点を置くなら粗利益高の3〜8%程度をひとつの参考帯として見る考え方もありますが、実際には利潤分配率を先に確保したうえで、労働・設備・管理の負担水準を見ながら自店の適正値を導き出すことをおすすめします。まず自店の現状を数字で把握することが最初の一歩です。
「販促費」として計上すべき全項目を整理する——計上漏れを防ぐ
販促分配率を正確に計算するには、すべての販促費をもれなく拾い上げることが不可欠です。計上漏れが多いと、実態より低い販促分配率が算出されてしまいます。以下のチェックリストを使って、今月の販促費を洗い出してみましょう。
【販促費 計上漏れチェックリスト】
- グルメサイト 月額掲載料(食べログ・ホットペッパーグルメ・ぐるなびなど)
- グルメサイト ネット予約手数料(月間予約人数 × 1名あたり手数料)
- チラシ・フライヤー 印刷費
- ポスティング 代行費
- SNS広告費(Instagram・Facebook等の有料広告出稿費)
- Google広告費(リスティング広告・ディスプレイ広告等)
- ポイントカード・スタンプアプリの月額費用
- クーポン・割引による売上減少額(*詳細は次のセクションへ)
- メルマガ・LINE公式アカウント 月額費用
- Googleビジネスプロフィール(GBP)の運用・写真更新
※ 原則費用ゼロ。更新に費やす時間は労働分配率(人件費)として計上 - その他、集客目的で支出した費用
💡 グルメサイトや予約媒体の費用は月額固定費だけでなく、ネット予約人数に応じた従量課金を含む場合があります。したがって、広告費を考える際は「月額料金」だけでなく、「実際の送客数まで含めた総額」で判断することが重要です。
なお、公開されているサービス紹介情報には一定の参考価格が掲載されていますが、料金体系は変更される可能性があるため、最終判断の前には最新条件の確認が必要です。
※ 参考として、食べログのベーシックプランは月額25,000円程度(税抜)という情報が業界情報サイトで報告されています。
📖 出典:🔗 R-reserve:「グルメサイトの予約手数料と掲載料を徹底比較!飲食店が損しない選び方とは?」
📖 出典:🔗 飲食店ドットコム:「飲食店経営のお役立ちサービス集」
📌 販促費ゼロで始められる集客の土台:Googleビジネスプロフィール(GBP)
上記チェックリストはすべて 費用が発生する集客施策 です。これらとは別に、費用ゼロで実施できる集客施策 として「Googleビジネスプロフィール(GBP)の最適化」があります。
Googleマップや Google検索で「〇〇市 カフェ」と検索したときに上位表示されるお店の情報がGBPです。写真・営業時間・メニュー・口コミ返信といった更新作業は原則無料で行え、Googleマップ経由の来客(MEO経由) を増やすことができます。
GBPの運用に費やす時間は、役員報酬・人件費として労働分配率の中に含まれます。販促分配率(広告費)には計上されません。
費用対効果の観点では、月額数万円のグルメサイト掲載料よりGBPの整備が先です。有料の集客施策を見直す前に、まず自店のGBP情報が最新・正確に保たれているかを確認してみましょう。
クーポン割引の「見えない原価」——粗利益高を減らす集客コスト

クーポンやSNS限定の割引は、集客ツールとして広く使われています。しかしその割引額は会計上「売上の減少」として現れるため、「販促費を使った」という意識が生まれにくい構造になっています。
以下は、理解のためのシミュレーションです。
ランチタイムに「10%OFFクーポン」を月間100人の方にご利用いただいた場合:
客単価1,200円 × 割引率10% = 割引額 120円/人
月間来客100人 × 120円 = 月間クーポン割引コスト 12,000円
この12,000円は粗利益高の純減少を意味します。集客のためにかけた実質的なコストとして、販促費合計に加算して把握することが大切です。
「売上が増えた」と「粗利益高が増えた」は、別の計算が必要
割引・クーポンを活用した集客施策で注意が必要なのは、客数が増えて売上高が上昇しても、粗利益高が比例して増えているとは限らないという点です。値引きは「広告宣伝費」として帳簿に出ないことが多いですが、実質的には粗利益を直接削って集客しているのと同じです。以下のシミュレーション比較をご覧ください。
| 条件 | 売上高 | 食材原価 | 粗利益高 |
|---|---|---|---|
| 通常月(クーポンなし・来客80人) | 96,000円 | 33,600円(35%) | 62,400円 |
| クーポン月(割引前・来客110人) | 132,000円 | 46,200円(35%) | 85,800円 |
| 差額 | +36,000円 | +12,600円 | +23,400円 |
| クーポン割引コスト(110人×120円) | △13,200円 | ― | △13,200円 |
| 粗利益高の実質増加 | +10,200円 |
クーポン割引前の売上高は36,000円増えていますが、クーポン割引を考慮した粗利益高の実質増加は10,200円にとどまります。来客30人分の追加オペレーションコスト(人件費・光熱費・消耗品)を加味すれば、クーポン集客が粗利益高に貢献しているかどうかは、さらに慎重に見る必要があります。
※ 「売上が増えたかどうか」だけではなく、「その売上がどれだけ粗利益高を残したか」で判断すべきという考え方は、広告費管理に限った話ではありません。時間帯ごとの採算を判断する場合も同じで、当社ブログの「時間帯別損益計算書」の記事でも、売上ではなく粗利益高を基準に見る重要性を詳しく解説しています。
「販促を止めると売上が落ちる」という状況に入り込む前に
飲食店の経営現場でよく目にするのは、「販促をかけて売上が上がった」という事実に注目し、粗利益高がどう変化したかという視点が劣後している状態です。
集客施策の効果を「売上高の変化」だけで評価し続けると、気づかないうちに「販促がなければ売上を維持できない構造」に依存してしまうことがあります。グルメサイトの掲載料・クーポン配布・SNS広告を積み重ねるほど集客への依存度が高まり、「今更止めると売上が落ちるから止められない」という状況に入り込んでしまう——こうした悩みは決して珍しくありません。
販促費は「かけるほど良い投資」ではなく、「粗利益高への貢献度を確認しながらコントロールする経費」です。販促分配率の管理は、こうした状況を未然に防ぐためのひとつの判断軸になります。
前提として——販促は「商品・サービスの品質が整ってから」
数字管理の議論と並行して、もう一点押さえておきたい前提があります。
販促をかけてお客様を呼び込む効果が持続するのは、提供する料理・サービスの品質がお客様の期待を満たしている場合に限られます。
現在ではグルメサイトやSNSで集客に取り組むことが容易にできる様になりましたが、品質が整っていない状態で販促をかけてお客様を呼び込むと、来店した方の口コミ・レビューとして低評価が多く残るリスクがあります。グルメサイトの評点が下がれば、次の販促投資の効果も下がります。SNSで拡散された低評価は、継続的に新規来客の障壁になります。つまり、品質が整う前の販促投資は、将来の販促効果やお店自体が持つ集客力を自ら毀損するリスクを持っているのです。
費用対効果の計算上、「販促コスト」は数字に出ますが、「悪評の蓄積による将来の集客コスト増加」は試算表には現れません。それでも確実に経営に影響します。
販促分配率の管理は、「いくらかけていいか」の上限を決めるフレームワークです。それと同時に、「かけたお金が粗利益高を生み出しているか」という費用対効果の確認習慣は、自店の商品・サービスがお客様に選ばれる理由を持っているかという問いと、切り離して考えることができません。
「集客できた」と「利益が残った」は、別の話です。
そして、「販促コストをかけ続けなければ維持できない売上」と「お客様が繰り返し選んでくれる売上」も、また別の話です。
※ 品質を整え、利益を生む看板商品を作る方法については、🔗『飲食店のメニュー構成ABC分析|儲けの75%を生む「Aランク商品」の見つけ方』もご参照ください。
シミュレーション:販促分配率を計算してみよう
※以下はすべて理解のための理論的なシミュレーションです。特定店舗の実績ではありません。自店の数字を当てはめて検討してみてください。
前提条件:月商300万円・原価率35%(粗利率65%)の夫婦経営カフェ
粗利益高 = 300万円 × 65% = 195万円
ケース1:グルメサイト1社+チラシ+SNS(販促費 控えめ)
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 食べログ有料掲載(参考) | 27,500円 |
| チラシ印刷・ポスティング | 20,000円 |
| Instagram広告 | 10,000円 |
| クーポン割引(月間100人×120円) | 12,000円 |
| 販促費合計 | 69,500円 |
販促分配率 = 69,500 ÷ 1,950,000 × 100 = 約3.6%
→ 参考目安の3〜8%の範囲内(下限寄り)。集客の伸びしろを考えるなら、予算を若干強化する選択肢もあります。4分配率の合計を確認し、80%以内に収まっているようであれば利潤分配率の目標も確保できています。
ケース2:グルメサイト2社に増やした場合
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 食べログ有料掲載(参考) | 27,500円 |
| ホットペッパーグルメ有料掲載(参考値・集客強化プラン想定) | 80,000円 |
| チラシ・ポスティング | 25,000円 |
| Instagram広告 | 20,000円 |
| クーポン割引(月間120人×120円) | 14,400円 |
| 販促費合計 | 166,900円 |
販促分配率 = 166,900 ÷ 1,950,000 × 100 = 約8.6%
→ 参考目安の上限(8%)を超過。上限超過は、追加した販促投資に対して粗利益高の増加が十分追いついていない可能性を示すサインです。
この状態が意味するのは、複数の販促施策を積み重ねた結果、それぞれの費用に見合うだけの粗利益高の増加が伴っていない可能性があるということです。仮に各施策が十分な来客増加と粗利益高の拡大をもたらしていれば、分母の粗利益高も増加するため、販促分配率がここまで上昇することはありません。
「施策を増やしたのに販促分配率が上がっている」という状況は、追加した投資が粗利益高の増加に結びついていないことを数字が示しているサインです。まず各媒体の費用対効果を個別に確認し、貢献度の低い施策から優先的に見直すことを検討しましょう。
ケース3:食材費が高騰した月(粗利率60%に低下)
食材費の値上がりで粗利率が65%から60%に低下した月を考えます。販促費はケース1と同水準(69,500円)を維持しているとします。
粗利益高 = 300万円 × 60% = 180万円(パイが小さくなる)
販促分配率 = 69,500 ÷ 1,800,000 × 100 = 約3.9%
→ 販促分配率の数値だけを見れば参考目安の範囲内です。
しかし注目すべきは、粗利益高が195万円から180万円に減少した分だけ、労働・設備・管理の各分配率も一斉に上昇しているという点です。販促費を一切変えていないにもかかわらず、パイが小さくなることで4つの分配率の合計は確実に100%に近づきます。
「販促分配率だけ見て問題なし」と判断するのではなく、4分配率の合計が100%を超えていないか、利潤分配率を確保できているかを全体で確認することが必要です。食材費が高騰した月こそ、販促費を含むすべての経費を粗利益高との対比で見直す判断が求められます。
💡 分配率管理の強みは、食材費が高騰した月に「全体のバランスをどこで調整するか」を数字で考えられることです。FL比率による管理だけを重視していると「FかLのどちらかを削れ」という二択しか見えませんが、分配率コントロールでは「販促を一時縮小する」「管理費の変動部分を絞る」など、4つの費目全体の中から柔軟に判断・対応できます。
「費用対効果」の考え方——1円の販促費で何円の粗利益高を稼ぐか
「販促分配率が範囲内かどうか」の確認に加えて、各媒体の費用対効果も月次で把握できると、広告投資の判断の精度が上がります。
費用対効果 = そのサイト/媒体経由の来客数 × 1人あたり粗利益高 ÷ 月額費用(円)
「1人あたりの粗利益高」は、「客単価 × 粗利率」で概算できます。月商300万円・粗利率65%のカフェ(客単価1,200円)であれば、1人あたりの粗利益高は780円(=1,200円×65%)です。
| 条件 | 生み出した粗利益高 | 月額費用 | 費用対効果 | 判断 |
|---|---|---|---|---|
| 食べログ経由 月50人来客 | 780円×50人=39,000円 | 27,500円 | 1.4倍 | 維持検討 |
| 食べログ経由 月10人来客 | 780円×10人=7,800円 | 27,500円 | 0.28倍 | 解約・縮小検討 |
| チラシ経由 月30人来客 | 780円×30人=23,400円 | 20,000円 | 1.2倍 | 継続検討 |
※この計算は、各媒体経由の来客がすべて純増の新規客であった場合の概算です
費用対効果が1倍を下回っている場合、その媒体は「粗利益高を削っている」状態です。一方、効果の高い媒体に予算を集中させることで、同じ販促分配率でもより多くの粗利益高を生み出せます。
「各媒体から何人来客しているか」を把握する方法
- グルメサイト:
管理画面のアクセス・予約数データを活用 - チラシ:
「このチラシを見てご来店の方にはドリンク1杯サービス」などの特典クーポンを付けて追跡 - SNS:
Instagramビジネスアカウントのインサイト(来店タグやDM問い合わせ数を参考に) - Googleビジネスプロフィール(GBP):
管理画面の「インサイト」で 「ルート案内のリクエスト数」「電話タップ数」「ウェブサイトのクリック数」 を確認。費用ゼロながら月ごとの来客寄与が数字で把握できます。
完璧なデータでなくても、「大体の感覚値」でも比較することで判断材料になります。
よくある質問(FAQ)
-
季節によって集客に力を入れたい時期があります。販促費を増やしても良いですか?
-
販促分配率の管理は、「常に一定の%以内」である必要はありません。
繁忙期前や集客強化が必要な時期に販促費を増やすことは有効な戦略です。大切なのは、「その月の粗利益高に対して、4つの分配率の合計が100%を超えないか」という全体バランスを確認することです。「今月は販促分配率を高めにするので、管理分配率の変動費を絞る」という全体最適の判断ができれば、一時的な増加も問題ありません。
-
SNSの自社アカウント運用(無料投稿)も販促分配率に含めますか?
-
無料で行うSNS投稿そのものは費用として計上する必要はありません。
ただし、SNS投稿に費やす「時間」は役員報酬・人件費として労働分配率の中に含まれます。SNS広告費として出稿した場合のみ、販促分配率に含めて計算します。
-
4つの分配率のうち、どれから優先的に見直せばいいですか?
-
正解は自店の費目構成や影響度等によって異なりますが、一般的に着手しやすい順番は以下のとおりです。
③販促分配率(広告出稿の停止・縮小は即日対応できる)→ ④管理分配率の変動部分(省エネ対策・不要な定額サービスの解約)→ ①労働分配率(シフト最適化には一定の調整期間が必要)→ ②設備分配率(家賃交渉・リース契約の見直しは更新時期に依存するため最も動かしにくい)
まず「今すぐ動かせる費目はどれか」を確認することが出発点です。ただし販促費を削減する場合は、削減前に各媒体の費用対効果を必ず確認してください。効果が出ている媒体を誤ってカットすると、粗利益高そのものが減少し、かえって全体の分配率が悪化するケースがあります。
-
グルメサイトの解約を検討していますが、解約後の集客をどう補えばいいですか?
-
グルメサイトを解約する前に、「そのサイト経由の来客が自店のリピーターになっているか」を確認することをおすすめします。
グルメサイト経由の来客が1回限りの新規客に偏っている場合、解約後の影響は比較的小さくなります。一方でリピーター化している来客が一定数いる場合は、解約前にLINE公式アカウントへの登録促進・Googleビジネスプロフィールの充実・自店SNSのフォロー誘導といった「グルメサイトを介さない再来店の導線」を先に整えておくことが重要です。
解約後に集客が落ちたとしても、販促費の削減幅が集客減による粗利益高の減少幅を上回っていれば、経営としては改善しています。この判断も、販促分配率と粗利益高を数字で見る習慣があってこそできるものです。
今日から始める「販促分配率の管理」3ステップ
STEP 1:今月の販促費を全項目書き出す
銀行明細・クレジットカード明細・各サービスの請求書を確認し、本記事の「販促費計上漏れチェックリスト」をもとに、すべての販促費をリストアップします。クーポン割引については、今月配布したクーポンの利用数と1枚あたりの割引額から合計を概算します。
STEP 2:粗利益高を確認し、販促分配率を計算する
今月の売上から食材原価(棚卸込みの実原価)を引いた粗利益高を確認します。税理士さんからの月次試算表であれば「売上総利益」の欄がこれに当たります。
販促費合計 ÷ 粗利益高 × 100 = 販促分配率(%)
計算した結果を、4つの分配率(労働・設備・販促・管理)の全体の合計と合わせて確認します。合計が100%以内かどうかが最初の確認ポイントです。利潤分配率の確保を目標にするなら、80%以内を目指します。
STEP 3:翌月の上限を先に決め、具体的な調整アクションとセットで設定する
「来月は販促費を粗利益高の○%以内に収める」と決めてから使います。その上で、「SNS広告の予算上限を○円に設定する」「グルメサイトのプランを確認し、効果の低い媒体の解約を検討する」など、具体的なアクションとセットで設定することが継続のコツです。
まとめ:「上限を決めてから使う」が集客費管理の基本
飲食店の販促費は、「使えば使うほど良い」ものではなく、かといって「節約を優先する」ものでもありません。
粗利益高という「使えるお金の上限」の中で、まず残したい利益(利潤分配率)を確保し、販促に配分する割合を先に決めてから使うこと。そして、使った費用が粗利益高をどれだけ生み出したかを月次で確認すること。
「売上の5%程度だから大丈夫」という目安だけではなく、「粗利益高の何%を集客に使っているか」という数字で管理することで、食材費が高騰した月でも売上が低迷した月でも、「どの販促費を調整するか」という具体的な判断ができるようになります。
まずは、今月の販促費の合計を書き出すところから始めてみましょう。
「計算したいが、どこから手をつければいいかわからない」という方へ
「今月の販促費の合計を出そうとしたが、グルメサイトの請求がバラバラで集計できない」
「粗利益高を試算表のどこで確認すればいいかわからない」
「販促分配率を計算したが、これが高いのか低いのか判断できない」
こうした段階からのご相談を受け付けています。当社では、飲食店オーナーが「感覚経営」から「数字に基づいた経営」へ移行するための実務サポートをしています。税理士さんが作成した月次試算表をお持ちいただければ、分配率の計算・読み方の解説から対応可能です。初回相談は無料です。
【無料相談のお申し込みはこちら】
※完璧なデータがなくても大丈夫です。直近の売上と大まかな経費がわかるメモ程度でも、現状の『販促分配率』を診断いたします。
所要時間:約60分・オンライン対応可。お電話でのお問い合わせも受け付けております。
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※受付時間 平日9:00〜18:00など、貴社の受付時間を入力してください
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② ランチ・ディナーの採算を時間帯別に把握したい方へ
→ 🔗 飲食店のランチは本当に赤字なのか?|時間帯ごとの採算を見える化する「時間帯別損益計算書」の作り方
③ メニュー別の粗利益高を分析したい方へ
→ 🔗 飲食店のメニュー構成ABC分析|儲けの75%を生む「Aランク商品」の見つけ方