「今月も棚卸で夜中の2時まで…明日も朝から仕込みなのに」
「冷蔵庫の奥から賞味期限切れの食材が出てきて、また無駄なコストが発生した」
「帳簿と実在庫が合わない。どこで食材が消えているのかわからない」
夫婦で飲食店を経営されている方なら、こうした悩みを一度は経験されたことがあるのではないでしょうか。
名古屋で飲食店のバックオフィス支援を行う当社には、
「棚卸にかかる手間や時間など作業負担が重く、棚卸は期末しか行っていない」
「食材ロスが減らないが、在庫管理が徹底できず原因を把握できない」
といったご相談をしばしばいただきます。
しかし、棚卸作業は準備と仕組みさえしっかりと整えることができれば、30分程度の時間で終えることが可能です。
本記事では、年間売上3,000万円〜1億円規模の夫婦経営飲食店が実践できる、効率的な在庫管理と棚卸の方法をご紹介します。
なぜ飲食店の在庫管理がこれほど重要なのか?
事業系食品ロスは年間231万トン|飲食業界の深刻な課題
農林水産省が公表した最新データ(令和5年度)によると、日本国内の事業系食品ロス量は削減傾向にあるものの、その量は年間231万トンにものぼります。
業種別の内訳を見てみると、外食産業は年間66万トンと製造業の年間108万トンに次ぐ大きな割合を占めています。
農林水産省が需要予測の精緻化といったDXを推進している点など踏まえると、外食産業の多くで需要に合わせた適切な在庫管理ができていないという課題が推察できます。
出典: 農林水産省「事業系食品ロス量(2023年推計値)を公表」

この事業系食品ロスの問題ですが、飲食店経営者にとっては、単に「もったいない」というだけの話では済まされません。
仕入れた食材が廃棄されれば、その分の仕入れコストが無駄になるだけでなく、廃棄処理費用も加えて発生します。つまり、二重のコスト負担が経営を圧迫するのです。
在庫管理の不備がもたらす「見えない損失」
在庫管理が不十分だと、以下のような問題が連鎖的に発生します。
1. 食材ロスによる利益の圧迫
適正在庫が把握できていないと、「念のため多めに発注」という判断をしがちです。
その結果、使い切れない食材が冷蔵庫などに多く残り、それらを賞味期限切れで廃棄することになります。
例えば、年商5,000万円、原価率30%の飲食店で、食材ロス率が3%あると仮定すると、年間で45万円の損失になります。
計算例:
年商5,000万円 × 原価率30% = 年間仕入額1,500万円
1,500万円 × 食材ロス率3% = 45万円の損失
この45万円は、純粋な利益の減少です。
ちなみに、これと同じだけの利益を売上増加で取り戻すには、
45万円 ÷ 粗利益率 70% → 約64万円
の金額が必要となります。
「お客が来てくれるかどうか」「今より沢山買ってくれるかどうか」という ”他力” に依存する売上高の増加より、”自力” で取り組めるロス削減によって損失を防ぐ方が、はるかに確実で効果的です。
2. 原価率の不正確な把握
帳簿上の在庫と実在庫がズレていると、正確な原価率が算出できません。
例えば、帳簿上は原価率30%で利益が出ているように見えても、実際には「食材廃棄」や「規定を超える盛り付けの多発」などによって、実際の原価率が35%になっていた、といったケースは決して珍しくありません。
このズレに気づかないまま経営を続けると、「黒字のはずなのに手元にお金が残らない」という事態に陥ります。
3. 衛生管理リスクの増大
賞味期限切れの食材が冷蔵庫の奥に残っていたり、滞留期間が長くなった食材の保管方法が不適切だったりすると、食中毒のリスクが高まります。
一度でも食中毒事故が発生すれば、営業停止処分、賠償責任、そして何よりお客様からの信用失墜という取り返しのつかないダメージを受けます。
在庫管理は、利益を守るだけでなく、お客様の安全とお店の信用を守るための重要な業務でもあるのです。
飲食店の適正在庫|納品頻度から逆算する実践的アプローチ
適正在庫とは何か?
適正在庫とは、売上獲得の機会を逃さず、かつ食材ロスも出さない在庫量のことです。
在庫が少なすぎると、お客様が注文した料理を「品切れ」で提供できずに機会損失が発生します。
逆に在庫が多すぎると、賞味期限切れ等による廃棄ロスが増えてしまいます。
適正在庫は「納品頻度」で決まる
適正在庫日数は、取引業者の納品頻度によって概ね決まります。
| 納品頻度 | 適正在庫日数の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 毎日納品 | 1〜2日分 | 翌日には新しい食材が届くため、最小限の在庫で運営可能 |
| 週2〜3回納品 (3〜4日おき) | 3〜5日分 | 次回納品までの日数+予備在庫(急な来客増加対応) |
| 週1回納品 | 7日分以上 | 次回納品まで1週間あるため、それに応じた在庫が必要 |
🚨 実務的ポイント:
- 生鮮食品(野菜・魚・肉)は納品頻度を上げることで、鮮度向上と在庫圧縮を両立できます
- 乾物・調味料などの日持ちする食材は、一定量のまとめ買いによる仕入れコスト削減も検討できます
- 納品業者と交渉し、「少量でも納品可能」「納品頻度を増やせる」体制を整えることが在庫最適化の第一歩です
自店の在庫日数を計算する方法

現在の在庫が何日分あるかは、以下の計算式で算出できます。
在庫日数 = 棚卸額 ÷ 理論原価率 ÷ 平均日商
計算例:
- 棚卸額:12万円
- 理論原価率:30%
- 平均日商:10万円
→ 12万円 ÷ 30% ÷ 10万円 = 4日分
この例では、現在の在庫は「4日分」である、ということがわかります。
👉 判断基準:
- 納品頻度が週2〜3回(3〜4日おき)の場合、「4日分」という在庫量は概ね適正範囲内
- 納品頻度が毎日の場合、「4日分」という在庫量は過剰在庫の可能性が高い
在庫日数を定期的にチェックする
月次で在庫日数を計算し、以下のような推移を確認しましょう。
| 月 | 棚卸額 | 在庫日数 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 10月 | 65万円 | 4.3日分 | 適正 |
| 11月 | 72万円 | 4.8日分 | やや過剰 |
| 12月 | 58万円 | 3.9日分 | 適正 |
在庫日数が急増している月は、「発注量が多すぎた」「廃棄が増えた」などの問題が潜んでいる可能性があります。
適正在庫を維持するメリット
適正在庫を維持することで、以下のメリットが得られます。
- キャッシュフローの改善:
過剰な在庫を持たないことで、資金が食材となって眠る額が減るため、資金繰りが楽になります。 - 鮮度の向上:
在庫の回転率が高まり、常に高い鮮度の食材を使用・提供できます。 - 冷蔵庫・冷凍庫のスペース確保:
無駄な在庫がないため、整理整頓された保管環境を維持しやすくなります。

関連記事:
キャッシュフロー管理の詳細は、こちらの記事で解説しています。
→ 飲食店が黒字倒産しないための『キャッシュフロー管理』完全ガイド
🚨 重要なポイント:
適正在庫日数は店舗ごとに異なります。
納品頻度、メニュー構成、客数の変動幅などを考慮し、自店にとって最適な在庫日数を見つけることが重要です。
月末棚卸を30分で終わらせる5ステップ実践法
棚卸作業を効率化するには、事前準備と仕組み化が不可欠です。
以下の5ステップを実践すれば、従来2時間かかっていた棚卸が30分で完了します。
ステップ1:棚卸の事前準備を徹底する(所要時間:10分)
棚卸当日にスムーズに作業を進めるには、事前準備が最も重要です。
準備すべきこと
① 保管場所の整理整頓
- 冷蔵庫・冷凍庫・食材保管棚を整理し、どこに何があるかわかりやすい状態にする
- 賞味期限切れの食材は事前に廃棄する
- 同じ食材はある程度まとめて一ヶ所に保管する
② サンプル品・私物の分離
- 業者からもらったサンプル食材は、「サンプル」とラベルを貼り、分けて保管する
- 従業員の私物(お菓子・お弁当など)が保管庫に入っている場合、棚卸対象外として明確に分ける
③ 計量器具の準備
- デジタルスケール(秤)
- メジャーカップ
- メジャー(液体計量用)
使いかけの食材を計量するために必要です。
④ 棚卸表のフォーマット準備
- Excelテンプレート、または、紙の棚卸表を印刷
- 食材名は事前に入力しておく(毎回同じ項目を入力する手間を省く)
🚨 ポイント:
普段から整理整頓を徹底していれば、この事前準備も5分程度で完了します。
「整理整頓ができているお店は繁盛する」と言われるのは、このような業務効率の差が積み重なるから、というのがその理由です。
ステップ2:食材をカテゴリー別に分類する(所要時間:5分)
すべての食材を一度に数えようとすると、混乱して時間がかかります。
以下のようにカテゴリー分けすると効率的です。
推奨カテゴリー:
- ドリンク類(酒類・ソフトドリンク)
- 常温保存食材(米・乾物・缶詰)
- 冷蔵食材(野菜・肉・魚)
- 冷凍食材
- 調味料(醤油・みりん・油など)
実践方法:
- 夫婦2人で棚卸を行う場合、1人がドリンク・常温、もう1人が冷蔵・冷凍を担当
- カテゴリーごとに棚卸表のシートを分けておくと、後でまとめやすい
複数人で分担することで、作業時間を大幅に短縮できます。
ステップ3:先入先出(FIFO)を日常的に徹底する
先入先出(First In, First Out:FIFO)とは、仕入れ日付の古い食材から先に使用していく、在庫管理の基本ルールです。

先入先出を実践する3つの方法
① 保管場所のルール化
- 新しく仕入れた食材は奥に配置
- 古い食材は手前に配置
- 取り出しやすい位置に古いものを置くことで、先入先出が自然と実現される
② ラベル管理の推奨
各食材に以下の情報をラベル記入します。
- 納品日
- 開封日
- 賞味期限/消費期限
100円ショップで販売されているマスキングテープと油性ペンで十分です。
③ 週1回の在庫確認
月末の棚卸だけでなく、発注作業を行う都度、最低でも週1回程度は冷蔵庫・冷凍庫の中を確認し、賞味期限が近い食材を把握します。
期限が近づいている食材は、「本日のおすすめ」や「限定メニュー」として優先的に使い切る対策を立て、せっかく仕入れた食材がそのまま廃棄される事態を回避しましょう。
👉 見込まれる効果:
経験に基づくものですが、先入先出を徹底することで、賞味期限切れによる廃棄は70%以上削減できます。
ステップ4:棚卸表を活用して記録する(所要時間:10分)

棚卸表には以下の項目を記載します。
| 保管区分 | 収納場所 | 食材名 | 仕入先 | 仕入単価 | 数量① | 数量② | 合計数量 | 単位 | 合計金額 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 冷蔵 | 冷蔵庫 A上段 | 牛肉 (国産) | ○○ 商店 | 2,500 円/kg | 0.8kg | 0.4kg | 1.2kg | kg | 3,000円 |
| 冷凍 | 冷凍庫B | エビ (大) | △△ 水産 | 3,000 円/kg | 0.8kg | – | 0.8kg | kg | 2,400円 |
| 常温 | 食材棚 2段目 | 米 | □□ 米穀 | 4,000 円/袋 | 2袋 | – | 2袋 | 袋 | 8,000円 |
🚨 棚卸表作成の重要ポイント:保管場所の区分を揃える
小規模飲食店で棚卸を効率化する最大のコツは、棚卸表の並び順を実際の在庫配置に合わせることです。完全に一致させるまでは必要ありませんが、保管場所との関係性を保つことで作業効率が向上します。
NG例:食材名のあいうえお順に並べた棚卸表
あ:油
い:イカ
う:牛肉
え:エビ
...
このように食材名順に並んでいると、冷蔵庫→冷凍庫→常温→冷蔵庫と何度も行ったり来たりすることになり、作業時間が2倍以上かかります。
OK例:保管区分ごとにまとめた棚卸表
【冷蔵エリア】
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- キャベツ
- レタス
- トマト
...
【冷凍エリア】
- エビ
- イカ
- ホタテ
...
【常温エリア】
- 米
- 小麦粉
- 醤油
...
このように保管エリアごとにまとめておけば、冷蔵庫を開けたら冷蔵エリアの項目をすべて数える、冷凍庫を開けたら冷凍エリアの項目をすべて数える、という流れで作業が進みます。
繰り返しになりますが、完全に配置順と一致させる必要はありません。大まかに保管場所でグループ分けされていれば十分効率化できます。
数量カウント欄を2つ設ける理由
同じ食材が複数の保管場所に分かれて保管されているケースは珍しくありません。
よくある例:
- 冷蔵庫Aに牛肉0.8kg、冷蔵庫Bに牛肉0.4kg
- 食材棚に醤油2本、厨房作業台に醤油1本(使用中)
- バックヤードに米3袋、厨房に米1袋
このような場合、数量カウント欄が1つしかないと、メモを取ったり計算したりする手間が発生します。
数量カウント欄を2つ設けることで:
- その場で記録できる
冷蔵庫Aで牛肉を数えたら数量①に記入
冷蔵庫Bで牛肉を数えたら数量②に記入
後で合計欄に足し算すればOK - 数え漏れを防げる
「あれ、さっきの冷蔵庫Aの分は何kgだったっけ?」とならない
それぞれの保管場所での数量が記録に残る - 在庫の偏りに気づける
「冷蔵庫Aばかりに在庫が集中している」といった保管状況の偏り・問題点を発見できる
記入例:
食材名:牛肉(国産サーロイン)
数量①:0.8kg(冷蔵庫A上段)
数量②:0.4kg(冷蔵庫B下段)
合計数量:1.2kg
もちろん、1箇所にしか保管していない食材は、数量①だけに記入し、数量②は空欄で構いません。
「保管区分」「収納場所」を記載する3つのメリット
メリット1:数え漏れ・重複カウントを防止
保管区分を明記することで、「冷蔵エリアは完了、次は冷凍エリア」と進捗が明確になり、数え漏れや重複カウントを防げます。
メリット2:複数人での作業分担がスムーズ
夫婦で棚卸を行う場合、以下のように分担できます。
- 担当A(夫):冷蔵庫・冷凍庫エリア
- 担当B(妻):常温保管エリア・ドリンク類
それぞれが自分の担当エリアの棚卸表を持ち、同時進行で作業できるため、作業時間を半分以下に短縮できます。
メリット3:翌月以降の棚卸がさらに効率化
一度、保管区分ごとにまとめた棚卸表を作成すれば、翌月以降はそのテンプレートを使い回すだけです。毎月同じエリアごとに数えるため、作業に慣れて所要時間がさらに短縮されます。
半加工品・サービス品などのカウント漏れに注意
棚卸で見落としがちなのが、仕込みされた状態の半加工品や、客席に用意している卓上調味料などサービス品といった材料です。
冷蔵庫や食材棚に保管されている食材だけでなく、以下のような場所にある材料も必ず棚卸に含めましょう。
カウント漏れしやすい仕掛品:
- 卓上調味料
テーブルに置かれている醤油・ソース・ドレッシング
カウンターに置かれている調味料ボトル - 厨房の作業台に出ている食材
仕込み中の野菜
下処理済みの肉・魚
開封済みの調味料 - 仕込み・加工済み食材
タレに漬け込んだ肉
カットして冷蔵保存している野菜
自家製ソース・ドレッシング
炊いたご飯(保温ジャーの中) - ホール・客席エリア
ドリンクバーの材料
ビールサーバーのタンク
バックヤードの在庫
🚨 カウント漏れを防ぐ方法:
- 棚卸表に「半加工品・その他」という項目を設ける
- 厨房と客席をくまなく一周し、「今ここにある食材はすべて棚卸対象」という意識で確認する
- 2人で作業する場合、1人が「見落としチェック係」として最終確認を担当
半加工品などは金額として大きくないため軽視されがちですが、これらのカウント漏れが積み重なると帳簿と実在庫のズレがそれなりの金額になり、原価率改善に取り組む際の原因究明が難しくなります。
記入のポイント
① 食材名は略語を統一する
- 「キャベツ」と「きゃべつ」のような表記ゆれを防ぐため、最初に略語ルールを決める
- 例:「国産牛サーロイン」→「牛サーロイン(国)」
② 高額食材は正確な計量が望ましい
- 牛肉・魚介類など単価の高い食材は、できるだけ正確に計量することで在庫金額の精度が上がります
- 調味料や低単価の食材は「1/2」「1/3」程度の概算でも大きな問題はありません
- 使いかけの食材の例:醤油1Lボトルが半分残っている場合→「約0.5L」と記録
③ 数量と単位を明確にする
- 「個」「kg」「L」「袋」など、単位を統一
- 同じ食材でもカウント単位が異なる場合は分けて記録
④ 複数箇所に保管されている場合は数量①②欄を活用
- それぞれの保管場所で数えた数量を別々に記録
- 後で合計欄に足し算すればOK
⑤ 半加工品・その他の材料も忘れずにカウント
- 卓上調味料、厨房作業台の食材、仕込み済み食材も棚卸対象
- 最後に店内を一周して、カウント漏れがないか確認
👉 意外な重要ポイント:
棚卸表の「並び順」は、一度決めたら基本的に毎月同じにすることが鉄則です。
棚卸作業においては、案外慣れによる作業時間短縮効果が大きいことがその理由です。
ただし、完璧に配置順と一致させる必要はありません。保管区分ごとにある程度まとめられていれば十分効率化できます。
ステップ5:帳簿と実在庫のズレを確認・原因分析する(所要時間:5分)
棚卸後は、帳簿上の在庫と実在庫を照合します。
ズレの許容範囲は1%以内
一般的に、帳簿と実在庫のズレが1%以内であれば、許容範囲と言われています。
1%以上のズレが生じている場合には、必ず原因を突き止めましょう。
計算例:
- 棚卸額:60万円
- 帳簿上の在庫:61万円
- ズレ:(61万円 - 60万円)÷ 60万円 = 約1.7%
この場合、1.7%のズレがあるため、原因調査が必要です。
よくある在庫ズレの原因7つ
- 廃棄した食材を帳簿に記録していない
👉 解決策:
廃棄BOXと廃棄ノートを用意。
食材の廃棄場所を固定し、廃棄した食材・数量・理由を記録する - 発注量と納品量が異なる
👉 解決策:
納品時に必ず検品を行い、伝票と実物を照合する
納品時の検収作業をおろそかにしている中小事業所は非常に多く見られる - 従業員による不正(持ち帰り・大量の味見・不正飲食)
👉 解決策:
在庫管理ルールを明確化し、従業員教育を徹底する
店内カメラの設置も検討
疑う気持ちで実施するのではなく、不正・犯罪をさせない健康的な環境整備のため - オーダーミス・調理ミスが多い
👉 解決策:
オーダー確認のチェック体制見直し
ミスの原因を掘り下げ
オーダー伝票の記載ルール見直し
聞き取りづらい・読み取りづらいメニューの把握
調理作業の簡略化(調理工程・調理器具・調理姿勢等の見直し)
オーダーエントリー等の機器導入検討 - オーバーポーション(規定量以上の提供)
👉 解決策:
レシピを明確化し、計量器具を使用して提供量を統一
従業員への再トレーニング
仕込みのロットや調理機材・器などの見直し - 盗難被害
👉 解決策:
保管場所に鍵をかけ、アクセス制限を設ける
防犯カメラ・セキュリティシステムの設置検討 - 棚卸時のカウントミス(半加工品等の数え漏れを含む)
👉 解決策:
計量機材の見直し
保管場所の整理・整頓(見づらさ・数えづらさの解消)
半加工品やサービス品なども必ずカウント
2人でのダブルチェック
在庫ズレは「お金が消えている」ことと同じです。放置せず、必ず原因を特定して改善しましょう。

関連記事:
帳簿管理の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 経理を後回しにすると危険!飲食店が毎月やるべき帳簿管理の基本
利益管理と在庫管理の関係
当社では、飲食店向けの利益管理手法として、「分配率コントロール」という手法をよく紹介・導入しています。
損益計算書を下からご覧になると、経費(販売費及び一般管理費)の直接の支払原資は、売上高から売上原価を差し引いた残りである「粗利益高(売上総利益)」となっており、粗利益高の範囲内で経費を使用している限り、会社・お店が営業赤字になることはない、ということは明白です。
私たちは、この大原則を重視した形の利益管理方法を大切にしています。
その実践に向けては、まず第一に粗利益高の正確な把握が重要になるのですが、在庫管理が不十分なケースでは、利益の大元たるこの粗利益高自体の把握が、正しくできなくなってしまうのです。
分配率コントロールとは?
分配率コントロールとは、粗利(売上-食材原価)を100%として、その範囲の中で経費を配分するという考え方です。
一般的に重要と言われ、よく用いられる「FL比率管理」は売上を基準に原価・人件費を管理しますが、分配率コントロールは粗利を基準とする点が異なります。
4つの分配率:
- 労働分配率(人件費÷粗利)
- 設備分配率(家賃・減価償却費等÷粗利)
- 販促分配率(広告宣伝費÷粗利)
- 管理分配率(水道光熱費・その他経費÷粗利)
基本原則: 粗利以上に経費を使わなければ、必ず営業利益が残ります。

関連記事:
FL比率管理と分配率コントロールの違いについては、こちらの記事もご覧ください。
→ 飲食店の『FL比率管理』で利益率を5%改善する実践法
在庫管理が分配率コントロールの土台
分配率コントロールを正しく機能させるには、正確な食材原価の把握が不可欠です。
そのためには、月次で正確な棚卸を実施し、実原価と実原価を元に導かれる粗利益高を、しっかりと算出する必要があります。
実原価の計算式:
実原価 = 前月在庫 + 当月仕入 - 当月在庫
つまり、棚卸が不正確だと実原価も不正確なものしか算出されなくなり、分配率コントロールを正しく機能させられません。
「多少の在庫のズレが及ぼす影響なんて、たいしたものではないでしょう」
と思われるかもしれませんが、在庫を加味しない仕入原価のみで算出した粗利益高と、間違いのない在庫高を反映して正しく実原価を算出した場合の粗利益高を比較すると、月々数万円の差異が生じることは経験上決して珍しくありません。
仮に、月商300万円のお店で原価が6万円ズレている場合であれば、それだけで原価率が2%変わります。
仕入原価のみを用いて月次決算を行っているお店では、月々の原価率変動幅が2-3%というケースに実際よく出会いますが、これが本当に起こっている原価の動きなのか、ただの在庫管理の不整備による見た目上の差異なのか、わからないままでは正しい手が打てません。
分配率コントロールによる管理に限らず、FL比率による管理においても、管理の土台となる原価率が毎度数%ズレてしまう管理状態は、やはり良い状態とは言えません。
在庫管理は利益管理、ひいては経営管理の土台なのです。
よくある質問(FAQ)
Q1:飲食店の棚卸は月何回行うべきですか?
月1回、月末に実施するのが一般的です。ただし、高額食材を多く扱う店舗や、在庫管理の精度を高めたい場合は、週1回または半月ごとに実施することも効果的です。
Q2:棚卸表はExcelと紙、どちらが良いですか?
小規模店舗(年商3,000万円以下)であれば、Excelで十分です。数量を入力するだけで自動計算されるため、計算ミスを防げます。システムに不慣れな方は、紙の棚卸表でも問題ありません。
Q3:適正在庫日数はどのくらいが目安ですか?
納品頻度によって異なります。週2〜3回納品の場合は3〜5日分、毎日納品の場合は1〜2日分が目安です。自店の在庫日数を計算し、過剰在庫を避けることが重要です。
まとめ|在庫管理で利益を守り、経営を安定させる
飲食店の在庫管理は、利益を守るための最重要業務です。
月末の棚卸を効率化するためには、以下の5つのステップを徹底しましょう。
- 事前準備を徹底する(整理整頓・計量器具・棚卸表)
- 食材をカテゴリー別に分類する(複数人で分担)
- 先入先出を日常的に実践する(ラベル管理・保管ルール)
- 棚卸表を活用して記録する(保管区分ごとに整理・仕掛品も忘れずにカウント)
- 帳簿と実在庫のズレを確認する(1%以上のズレは原因調査)
適正在庫は納品頻度によって決まります。
自店の在庫日数を計算し、過剰在庫を避けることで食材ロスを削減し、キャッシュフローも改善できます。
在庫管理でお困りの飲食店経営者の方へ
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