「今日も忙しかった…経理はまた週末にやろう」
「レシートが溜まってるけど、とりあえず箱に入れておけば大丈夫だろう」
「確定申告の時期になってから税理士にまとめて渡せばいいや」
名古屋で飲食店を夫婦で経営されている方から、こうした声をよく聞きます。
毎日の営業で忙しく、経理作業は「後回し」になりがちです。お気持ちは本当によくわかります。
しかし、経理を後回しにすることは、実は経営上の大きなリスクを抱えることになります。売上は順調なのに気づいたら資金繰りが厳しくなっていた、税務調査で指摘を受けて追徴課税が発生した、といった事態を招きかねません。
この記事では、数字が苦手な経営者の方でも実践できる「毎月やるべき帳簿管理の基本」を、わかりやすく解説します。帳簿管理を習慣化することで、経営判断の精度が上がり、資金繰りの不安も軽減されます。
なぜ帳簿管理を後回しにすると危険なのか?
まず、経理を後回しにすることで起こりうる3つのリスクを確認しましょう。

1. 経営状態が見えなくなる
帳簿をつけていないと、「今月いくら儲かったのか」「どの費用が増えているのか」が分かりません。
感覚だけで経営判断をすることになり、気づいたときには赤字体質になっていた、ということも起こり得ます。
特に飲食店は現金商売のため、売上金が手元にあると「儲かっている」と錯覚しがちです。しかし実際には、その中から仕入代金、家賃、人件費、税金などを支払う必要があります。帳簿で正確に把握していないと、支払いのタイミングで資金ショートを起こすリスクがあります。
2. 税務調査で不利になる
税務署は、帳簿がきちんと整理されていない事業者に対して、より厳しい目を向けます。
帳簿が不十分だと、経費として認められるべきものが認められなかったり、推計課税(税務署が推定で税額を決める)を受けたりする可能性があります。
また、青色申告の特典(最大65万円の特別控除など)を受けるためには、正規の簿記による記帳が必要です。帳簿管理を怠ると、この節税メリットを失うことにもなります。
3. 金融機関からの信用を失う
将来的に融資を受けたい、店舗を拡大したいと考えた時、金融機関は必ず財務状況を確認します。
その際、きちんとした帳簿がないと「経営管理ができていない事業者」と判断され、融資を断られる可能性が高まります。
普段から帳簿を整備しておくことは、将来の事業展開の選択肢を広げることにもつながります。
飲食店が毎月やるべき帳簿管理の基本5ステップ
それでは、具体的に「毎月何をすればいいのか」を5つのステップで解説します。
これらを習慣化することで、経理の負担は大きく軽減されます。

ステップ1:日々のレシート・領収書を整理する(毎日5分)
帳簿管理の第一歩は、証憑書類(レシートや領収書)の整理です。
1日の営業が終わったら、その日に発生したレシート・領収書を集めて、以下のように分類します。
- 仕入れ (食材、飲料など)
- 経費(消耗品、光熱費、通信費など)
- 売上(レジの精算記録)
分類したら、日付順にクリアファイルやバインダーに保管します。月末にまとめてやろうとすると、レシートが見つからない、何の支払いだったか思い出せない、といった問題が起こります。毎日5分の習慣が、月末の作業時間を大幅に短縮します。
💡ポイント:
電子レシートやクレジットカード明細も、同様に整理しましょう。スマホで写真を撮ってクラウドに保存する方法も有効です。
ステップ2:売上を記録する(毎日10分)
飲食店の帳簿管理で最も重要なのが、売上の記録です。
レジの締め作業と合わせて、以下の情報を記録します。
- 日付
- 現金売上
- クレジットカード売上
- 電子マネー・QR決済売上
- 合計売上
エクセルや会計ソフトに入力しましょう。POSレジを使っている場合は、データを自動的に会計ソフトに連携できる場合もあります。
💡ポイント:
現金売上の場合、レジの実際の現金残高と記録が一致しているか確認します。差異がある場合は原因を特定し、記録しておきましょう。
ステップ3:支出を記録する(週1回30分)
ステップ1で整理したレシート・領収書をもとに、週に1回、支出を記録します。
以下の項目を記録しましょう。
- 日付
- 支払先
- 金額
- 勘定科目(仕入高、消耗品費、水道光熱費など)
- 支払方法(現金、口座引落、クレジットカードなど)
勘定科目が難しく感じる方は、最初は大まかな分類でOKです。「食材費」「その他経費」くらいから始めて、慣れてきたら細分化していきましょう。
よくある勘定科目
- 仕入高(食材、飲料の仕入)
- 消耗品費(割り箸、おしぼり、洗剤など)
- 水道光熱費(電気・ガス・水道)
- 通信費(電話、インターネット)
- 地代家賃(店舗の賃料)
- 広告宣伝費(チラシ、看板、Web広告など)
ステップ4:預金通帳を記録する(月1回30分)
事業用の預金口座の入出金を、会計ソフトまたはエクセルに記録します。
現金では把握しきれない経費(口座引落の家賃、光熱費など)を漏れなく記録するために重要です。
最近は、多くの会計ソフトが銀行口座と自動連携できるため、手入力の手間を省けます。自動連携を活用すると、記帳の負担が大きく軽減されます。
💡ポイント:
事業用とプライベート用の口座は必ず分けましょう。混在していると、記帳作業が複雑になり、税務調査でも説明が困難になります。
ステップ5:月次で数字を確認する(月1回1時間)
月末には、その月の売上・経費を集計し、以下の数字を確認します。
- 月間売上高
- 月間経費(できれば科目別に)
- 営業利益(売上 − 経費)
- 現金残高(手元現金 + 預金残高)
これらの数字を前月や前年同月と比較することで、経営の傾向が見えてきます。「先月より売上が下がっている」「この経費が急に増えている」といった気づきが、早めの対策につながります。
また、月次で数字を確認することで、資金繰りの予測も立てやすくなります。「来月は家賃と仕入代金の支払いが重なるから、今月は少し現金を多めに残しておこう」といった判断ができるようになります。
毎月の帳簿管理チェックリスト
帳簿管理を習慣化するために、以下のチェックリストを活用してください。
コピーして店舗に貼っておくと、作業漏れを防げます。
【毎日やること】
- ☐ レシート・領収書を分類して保管した
- ☐ 売上を記録した(現金・カード・電子マネー別)
- ☐ レジの現金残高と記録が一致しているか確認した
【週に1回やること】
- ☐ 1週間分の支出を記録した(レシート・領収書をもとに)
- ☐ クレジットカード明細を確認した
【月に1回やること】
- ☐ 預金通帳の入出金を記録した
- ☐ 月間売上高を集計した
- ☐ 月間経費を科目別に集計した
- ☐ 営業利益を計算した(売上 − 経費)
- ☐ 現金残高を確認した(手元現金 + 預金残高)
- ☐ 前月・前年同月と比較した
- ☐ 翌月の資金繰りを確認した(大きな支払予定はないか)
【四半期に1回やること】
- ☐ 税理士に帳簿を確認してもらった(顧問契約している場合)
- ☐ 3ヶ月間の経営数字を振り返った
このチェックリストを印刷して、毎日・毎週・毎月の作業が終わったらチェックを入れていきましょう。視覚的に進捗が見えるため、習慣化しやすくなります。
帳簿管理を効率化するツールと工夫
帳簿管理の負担を減らすために、以下のようなツールや工夫を取り入れることをおすすめします。

会計ソフトの活用
手書きやエクセルでも帳簿管理は可能ですが、会計ソフトを使うと作業効率が大幅に向上します。
- 銀行口座・クレジットカードとの自動連携で入力の手間を削減
- 勘定科目の自動提案で、簿記の知識がなくても記帳できる
- レポート機能で、月次の数字をグラフで確認できる
- 確定申告書類の自動作成で、申告作業が簡単に
クラウド型の会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計オンラインなど)なら、スマホからも入力できるため、スキマ時間に作業できます。
レシート撮影アプリ
レシートをスマホで撮影すると、自動的に日付・金額・店名を読み取ってデータ化してくれるアプリがあります。
会計ソフトと連携すれば、そのまま記帳に反映されるため、手入力の手間が省けます。
作業時間を固定する
「毎週月曜の午前は経理の時間」というように、帳簿管理の時間を固定すると習慣化しやすくなります。
営業前の静かな時間帯や、定休日の午前中などがおすすめです。
夫婦で役割分担する
夫婦経営の場合、どちらか一方に経理を任せきりにせず、役割分担することで負担を軽減できます。
- 一方がレシート整理と売上記録、もう一方が支出記録と月次確認
- 一方の負担があまりに重たいようなら、週替わりで担当を交代する
両方が帳簿の内容を理解していると、経営判断もスムーズになります。
帳簿管理でよくある間違いと対策
名古屋の飲食店経営者からよく聞く、帳簿管理の間違いと対策をご紹介します。
間違い1:プライベートの支出と事業の支出を混ぜてしまう
対策:
事業用とプライベート用の財布・口座を完全に分けましょう。
やむを得ず事業用の現金でプライベートの支払いをした場合は、「事業主貸」として記録します。
間違い2:レシートがないから経費にできないと諦める
対策:
レシートがなくても、支払いの事実があれば経費にできます。
「出金伝票」を作成し、日付・支払先・金額・内容を記録しましょう。ただし、あまりに多いと税務調査で疑われるため、できるだけレシートをもらう習慣をつけることが大切です。
間違い3:売上をごまかせば税金が減ると考える
対策:
売上除外(売上を少なく申告すること)は重大な脱税行為です。
税務調査で発覚すると、追徴課税だけでなく重加算税(最大40%)が課され、刑事罰を受ける可能性もあります。正直に記録することが、長期的には最も有利です。
間違い4:現金商売だから通帳は見なくていいと思っている
対策:
家賃、光熱費、通信費など、多くの固定費は口座引落です。
通帳を記録しないと、これらの経費が漏れてしまい、正確な利益が把握できません。必ず月1回は通帳を確認しましょう。
税理士に依頼すべきタイミング
ここまで自分でできる帳簿管理の基本を解説してきましたが、以下のような状況になったら、税理士への依頼を検討するタイミングです。
- 売上が年間1,000万円を超え、消費税の申告が必要になった
- 従業員を雇用し、給与計算・社会保険の手続きが必要になった
- 帳簿管理に時間を取られ、本業に支障が出ている
- 税務調査の通知が来た
- 融資を受けるため、正確な財務諸表が必要になった
税理士に依頼すると費用はかかりますが、その分本業に集中でき、節税のアドバイスももらえるため、トータルではプラスになることが多いです。
ただし、税理士に丸投げするのではなく、基本的な帳簿管理は自分で行い、チェックや申告書作成だけを依頼する「部分依頼」も可能です。
自分の経営状況を把握するためにも、最低限の記帳は続けることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
帳簿管理について、名古屋の飲食店経営者からよくいただく質問にお答えします。
Q1: 飲食店の帳簿管理は毎日やる必要がありますか?
A:
理想は毎日ですが、完璧を目指す必要はありません。
最低限、レシート・領収書の整理と売上記録は毎日行い、支出の記録は週1回でも構いません。大切なのは「習慣化すること」です。
月末にまとめてやろうとすると、レシートを紛失したり、何の支払いか思い出せなくなったりして、かえって時間がかかります。毎日5〜10分の習慣が、月末の負担を大きく減らします。
Q2: 会計ソフトは必須ですか?手書きやエクセルでもいいですか?
A:
売上規模が年間3,000万円以下で、取引数が少ない場合は、エクセルでも十分対応可能です。
ただし、以下に当てはまる場合は会計ソフトの導入をおすすめします。
- 青色申告で65万円の特別控除を受けたい
- 銀行口座やクレジットカードの取引が多い
- 確定申告の書類作成を簡単にしたい
- 将来的に従業員を雇用する予定がある
クラウド型会計ソフトは月額1,000〜3,000円程度で利用でき、記帳作業の時間を大幅に削減できます。無料トライアル期間もあるので、まずは試してみることをおすすめします。
Q3: レシートを紛失した場合はどうすればいいですか?
A:
レシートがなくても、支払いの事実があれば経費として計上できます。
「出金伝票」を作成し、以下の情報を記録しましょう。
- 日付
- 支払先(店名や会社名)
- 金額
- 支払内容(何を購入したか)
- 支払方法(現金、カードなど)
ただし、出金伝票ばかりが多いと税務調査で疑われる可能性があるため、できるだけレシートをもらう習慣をつけることが大切です。また、クレジットカードや電子マネーの利用明細も証拠書類として使えます。
Q4: 帳簿管理を税理士に任せたほうがいいですか?
A:
以下に該当する場合は、税理士への依頼を検討するタイミングです。
- 年間売上が1,000万円を超え、消費税の申告が必要になった
- 従業員を雇用し、給与計算が発生した
- 帳簿管理に時間を取られ、本業に支障が出ている
- 融資を受けるため、正確な財務諸表が必要
ただし、税理士に丸投げするのではなく、日々の記帳は自分で行い、月次チェックや申告書作成だけを依頼する「部分依頼」という選択肢もあります。自分で数字を把握することが、経営判断の精度を高めることにつながります。
Q5: 夫婦で経営している場合、どちらが帳簿管理を担当すべきですか?
A:
得意不得意を考慮のうえで、役割分担することをおすすめします。
例えば、
- 一方がレシート整理と売上記録、もう一方が支出記録と月次確認
- 負担に偏りがある場合、週替わりや月替わりで担当を交代する
- 一方が記帳、もう一方が最終チェック
両方が帳簿の内容を理解していると、急な体調不良や旅行の際にも対応できますし、経営判断を二人で話し合う際にもスムーズです。また、税務調査が入った場合も、両方が説明できる状態が理想的です。
Q6: 事業用とプライベートの口座は必ず分けないとダメですか?
A:
法律上の義務ではありませんが、必ず分けることを強くおすすめします。
理由は以下の通りです。
- 記帳作業が圧倒的に楽になる
- 経営状況が正確に把握できる
- 税務調査で説明がしやすい
- プライベートの支出を誤って経費計上するリスクを防げる
すでに混在している場合は、今日からでも遅くありません。新しく事業用口座を開設し、今後の取引はすべて事業用口座で行うようにしましょう。過去の取引は、できる範囲で整理すればOKです。
Q7: 現金売上が多いのですが、税務調査で疑われませんか?
A:
飲食店は現金商売なので、現金売上が多いこと自体は問題ありません。
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 毎日の売上を正確に記録する(レジの精算記録を必ず残す)
- 現金の実際残高と記録を一致させる(差異がある場合は原因を記録)
- 仕入と売上の比率が業界平均と大きく乖離しない(極端に利益率が高いと疑われる)
また、可能であればキャッシュレス決済を導入すると、記録が自動的に残るため、税務調査対策としても有効です。POSレジの導入も、売上管理の透明性を高めます。
Q8: 青色申告と白色申告、どちらを選ぶべきですか?
A:
年間売上が500万円を超える場合は、青色申告を強くおすすめします。
理由は以下の通りです。
青色申告のメリット:
- 最大65万円の特別控除(大きな節税効果)
- 赤字を3年間繰り越せる
- 家族への給与を必要経費にできる(専従者給与)
- 30万円未満の固定資産を一括経費にできる
青色申告のデメリット:
- 複式簿記での記帳が必要(会計ソフトを使えば解決)
- 事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要
会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても青色申告の要件を満たす帳簿が作れます。節税メリットを考えると、手間をかける価値は十分にあります。
まとめ:帳簿管理は「未来への投資」
帳簿管理は面倒に感じるかもしれませんが、実は経営を安定させるための重要な作業です。
日々の記録があるからこそ、正確な経営判断ができ、資金繰りの不安も減らせます。

この記事でご紹介した5つのステップを、まずは1ヶ月続けてみてください。習慣化すれば、思っているほど負担は大きくありません。
💡毎月やるべき帳簿管理の基本(再確認)
- 日々のレシート・領収書を整理する(毎日5分)
- 売上を記録する(毎日10分)
- 支出を記録する(週1回30分)
- 預金通帳を記録する(月1回30分)
- 月次で数字を確認する(月1回1時間)
これらを実践することで、「今月いくら儲かったのか」「来月の資金繰りは大丈夫か」が明確になり、安心して経営に集中できるようになります。
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「帳簿管理の方法は分かったけど、やっぱり一人では不安」
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