閉店後の午後11時。ようやく片付けが終わり、疲れ切った体でテーブルに座る夫婦。

妻:「今月、売上どうだった?」
夫:「・・・ まあ、なんとかなってるんじゃない?」
妻:「でも、前より忙しいのに、手元にお金が残らないよね」
夫:「そうだね ・・・。でも、今から数字の話はしんどいし、明日にしよう」
こんな会話に覚えはありませんか?
実は、この「また今度」の積み重ねが、店を廃業に追い込む最大の原因です。
2024年の飲食店倒産は894件で過去最多を記録。その約9割が小規模事業者でした。
📖 出典:🔗 帝国データバンク|2024年「飲食店」の倒産動向調査
でも、月1回たった30分、夫婦で数字を見る時間を作るだけで、この状況は変えられます。
この記事では、夫婦で一体何を見ればいいのか、どうすれば長く続けられるのか、そして期待できる変化まで、すぐに実践できる方法をお伝えします。
なぜ夫婦経営の店は「数字の話」を避けてしまうのか
24時間「仕事モード」で、立ち止まる時間がない
夫婦経営の飲食店には、出勤も退勤もありません。
朝起きた瞬間から「今日の仕込みは…」と考え、営業中は二人で厨房とホールを回し、閉店後も片付けや翌日の準備に追われる。この「24時間仕事モード」の中では、立ち止まって経営全体を俯瞰する時間を作ることが非常に難しくなります。
「忙しいから、また今度話そう」
「とりあえず、目の前のことを片付けてから」
こうして経営について話し合う機会は、いつも「後回し」に。しかし、その「また今度」は永遠に来ないことが多いのです。
数字の話が「互いを責める場」になってしまう
「今月の原価率、また上がってるよ」
「私は言われた通りに仕込んでるだけだけど?」
「でも、廃棄も多いんじゃない?」
「それを言うなら、あなたがメニュー価格を上げないからでしょ」
数字の話は、本来は冷静に事実を確認するための材料です。しかし夫婦経営では、数字が「互いの働きぶりを評価する材料」に変わってしまうことがあります。
特に、一方が数字管理を担当し、もう一方が現場業務に専念している場合、この構図が強まります。経営の話をすること自体が苦痛になってしまうのです。
「言わなくてもわかっているはず」という思い込み
長年一緒に働いていると、相手も同じことを考えているはずだという思い込みが生まれます。
しかし、実際には夫婦それぞれが全く異なる認識を持っていることが少なくありません。
よくあるすれ違いの例
夫「新メニューを増やして集客したい」
vs
妻「既存メニューの原価率を下げることが先決」
夫「ランチの客単価を上げたい」
vs
妻「ランチは集客重視で単価は気にしなくていい」
夫「SNSにもっと力を入れるべき」
vs
妻「SNSより既存客のフォローが大事」
こうした方向性のズレは、言葉にして確認しない限り永遠に気づきません。
HR総研の調査によれば、中小企業の52%が「目指す方向への認識の統一」に障害を感じています。夫婦経営でも、同様に「互いの認識のズレ」が大きな経営課題となっているのが実状です。
📖 出典:🔗 HR総研|中小企業の人事課題に関するアンケート調査
プライベートな関係が「遠慮」を生む
意外に思われるかもしれませんが、夫婦だからこそ言いにくい、ということもあります。
「この仕入れ先、もっと安いところがあるんじゃない?」と思っても、「相手が一生懸命探してくれたのに文句を言うのは悪い」と飲み込んでしまう。「最近、接客の笑顔が減ってない?」と感じても、「疲れているのに追い打ちをかけたくない」と言えない。
夫婦として素敵なこうした「優しさ」や「気遣い」が、実は経営改善の機会を奪っている、といったケースも見られます。
月1回30分の「数字を見る時間」で話すべき3つのこと

では、具体的にどのような時間を作ればいいのでしょうか。ここでは、月1回30分で実施できる実践的な方法を紹介します。
【その1】先月の数字を「一緒に」確認する(10分)
最初の10分は、先月の数字を二人で一緒に確認する時間に充てます。
まず見るべき2つの数字(ここから始める)
1.売上高 (前月比、前年同月比)
- 「先月の売上は150万円。前月より5万円減少」
- 「前年同月比では10万円増加」
2.原価率 (食材費÷売上高×100)
- 「原価率は32%。前月より2ポイント上昇」
- 「目標の30%を超えている」
この2つを見るだけでも、十分効果があります。慣れてきて余裕ができてきたら以下の3つの数字も確認しましょう。
慣れてきたら追加する3つの数字
- 人件費 (売上高に対する比率も確認)
- 固定費 (家賃、光熱費、リース料など)
- 営業利益 (売上-原価-人件費-固定費)
最初から全部やろうとすると続きません。まずは売上と原価率だけ、確実に見る習慣を作りましょう。
(注) 業態による違い
適正原価率は業態によって異なります。
- 居酒屋: 28-32%
- ラーメン店: 30-35%
- イタリアン: 28-32%
- カフェ: 25-30%
この記事では飲食店の一般例として30%を使っていますが、自店の業態に合わせて目標を設定してください。
重要なポイント
数字を「責めるため」ではなく「理解するため」に見る
数字を見るときに大切なのは、「誰が悪いか」を探すことではありません。「なぜそうなったのか」を一緒に考えることです。
例えば、原価率が上がった理由を考える際には、
- ❌「あなたが食材を無駄にしているからだ」
- ⭕「先月は魚の仕入れ価格が高かったよね。それとも廃棄が増えた?」
というように、事実ベースで原因を探ることで、感情的にならずに改善策を考えられます。
【会話例】数字を一緒に見る場面
夫:「先月の売上、前月より5万円下がってるね」
妻:「そうだね。でも前年同月よりは10万円上がってる」
夫:「ということは…って、これって君の担当が悪いってこと?」
妻:「え? なんで急にそういう話に…」
夫:「あ、ごめん。違うんだ。原因を知りたかっただけで」
妻:「・・・うん。(深呼吸) 季節的な要因かもね。去年のメモ見てみよう」
夫:「そうだね。一緒に見てみよう」
このように、完璧でなくていいんです。途中でつまずいても、立て直せばOK。
【その2】今月の重点課題を1つだけ決める(15分)
すべての問題を一度に解決しようとすると、結局何も進みません。今月取り組む重点課題を必ず1つだけ決めましょう。
重点課題の選び方
以下の3つの基準で判断します:
- インパクト:解決すると経営に大きな影響がある
- 実現可能性:今月中に何らかの成果が出せる
- 緊急性:放置するとリスクが高まる
今月の重点課題の例
例えば「原価率を32%→30%に下げる」を重点課題にした場合:
- やること:メニュー別原価率を計算
- 担当:妻
- 期限:今月20日まで
- 次のステップ:20日に二人で結果を確認し、改善策を決める
他にはこんな重点課題もあります
- ランチの集客を増やす (Instagram週3回投稿)
- 常連客のフォロー (3ヶ月未来店の人に声がけ)
- 廃棄ロスを減らす (発注量の見直し)
重要なのは、欲張らず1つに絞ることです。
必ず明確にすべき3つのこと
- WHO (誰が):担当者を決める
- WHAT (何を):具体的な行動を決める
- WHEN (いつまでに):期限を決める
曖昧な決め方をすると、結局誰も実行しません。
会話例:重点課題を決める場面
夫:「今月の重点課題、何にしようか」
妻:「私は原価率が気になるんだよね。32%は高すぎる」
夫:「確かに。でも、ランチの集客も弱いよね」
妻:「両方やると中途半端になるから、どっちか1つに絞ろう」
夫:「じゃあ、原価率は経営の基礎だから、こっちを優先しようか」
妻:「OK。具体的には何する?」
夫:「まず、メニューごとの原価率を全部計算して、高いものを洗い出す」
妻:「それは私がやるよ。いつまでに?」
夫:「今月20日までにできる?」
妻:「できる。じゃあ、それが出たら二人で見直しを考えよう」
このように、話し合いながら具体的なアクションに落とし込むことが重要です。
【その3】お互いの「気づき」を共有する (5分)
最後の5分は、現場で感じたことや気づいたことを共有する時間です。数字には表れないけれど、店の未来に影響する「小さな変化」に気づくことが目的です。
共有すべき気づきの例
顧客の変化
- 「常連のAさん、最近来てないね」
- 「新規のお客さんが『Instagram見て来ました』って言ってた」
- 「ランチ時間、女性客が増えてる気がする」
メニュー・商品の反応
- 「新メニューの〇〇、意外と注文が多い」
- 「△△は全然出ないから、そろそろメニューから外してもいいかも」
スタッフの様子
- 「最近、◯◯さんが疲れてる様子がある」
- 「土曜日の夜、人手が足りなくて大変そう」
競合・地域の変化
- 「駅前に新しいラーメン屋ができたね」
- 「近所の工事が終わったから、人通りが変わるかも」
こうした小さな気づきの積み重ねが、大きな問題の早期発見や、新しいチャンスの発見につながります。
この時間を続けるための3つのルール

どんなに良い仕組みも、続けられなければ意味がありません。習慣化するためには、以下の3つのルールを守ることが重要です。
ルール1:日時と場所を「絶対に」固定する
おすすめの設定
- 日時:毎月第1日曜日の午後9時から30分 (定休日や比較的余裕のある日を選ぶ)
- 場所:店内ではなく、自宅のリビングやダイニング
- 準備物:先月の売上データ、ノート (記録用)、お茶やコーヒー
なぜ「30分」なのか
- 10分:短すぎて話が中途半端に終わる
- 60分:長すぎて集中力が続かない、予定を空けるのが大変
- 30分:数字確認 (10分) + 課題決定 (15分) + 気づき共有 (5分) がちょうど収まる
「30分だけ」と決めることで、「ダラダラ続く話し合い」への心理的抵抗が減ります。
この時間中のルール
- スマートフォンは見ない(緊急連絡以外)
- テレビは消す
- 子どもが寝た後の時間に設定する
ルール2:「禁句」を事前に決めておく
話してはいけない「禁句」を事前に決めておきましょう。
禁句リスト
| ❌ 禁句 | ⭕ 言い換え |
|---|---|
| 「だからあなたは…」 | 「〇〇という課題があるね」 |
| 「いつもそうだよね」 | 「今回はこうだったけど」 |
| 「それは私の仕事じゃない」 | 「その部分は〇〇さんの担当だったよね」 |
| 「売上が悪いのは〇〇のせい」 | 「売上に影響した要因を考えよう」 |
| 「何度言ったらわかるの」 | 「もう一度確認したいんだけど」 |
| 「やる気あるの?」 | 「疲れてない? 大丈夫?」 |
守るべき話し方
1. 主語を「私」にする
- ❌「あなたが〇〇しないから」
- ⭕「私は〇〇が心配なんだけど」
2. 事実と感情を分ける
- ❌「あなたの接客、最近適当すぎる」
- ⭕「最近笑顔が少ないように感じたんだけど、疲れてる?」
3. 提案形で話す
- ❌「〇〇を変えるべきだ」
- ⭕「〇〇を変えてみたらどうかな」
感情的になりそうなときの対処法
もし途中で感情的になりそうになったら:
- 深呼吸を3回する
- 「ちょっと休憩しよう」と提案する
- 5分間別々の部屋で冷静になる時間を取る
- それでも無理なら、「今日はここまでにして、来週続きを話そう」と決める
感情的なまま話し続けても、良い結論は出ません。無理に結論を出さず、一旦区切る勇気も大切です。
ルール3:必ず記録を残す (そして次回確認する)
短い時間でも、必ず記録を残しましょう。難しいフォーマットは不要です。ノートやスマートフォンのメモアプリで十分です。
記録のシンプルテンプレート
【”数字を見る時間” 記録】
日時:2026年2月1日(日) 21:00~21:30
■ 先月の数字
・ 売上:150万円 (前月比-5万円、前年同月比+10万円)
・ 原価率:32% (目標30%、要改善)
■ 今月の重点課題
課題:原価率を32%→30%に
担当:妻 (メニュー別原価率計算)
期限:2月20日までに計算完了
■ 気づきの共有
・ランチの女性客が増えている (Instagram効果?)
・常連の山田さんが2ヶ月来店なし→電話確認する
■ 次回
日時:3月1日(日) 21:00~
確認事項:原価率改善の進捗
記録を残す3つのメリット
- 前回決めたことを忘れない
- 進捗が見える (「3ヶ月前に比べて、原価率が改善してる!」)
- パターンが見える (「毎年3月は売上が下がる」「夏場は原価率が上がる」)
次回の最初にすること
次の会では、必ず前回の記録を見ながら開始します。
「先月決めた原価率改善、どうなった?」
「メニュー別の計算、できた?」
「山田さんには連絡した?」
こうして前回の決定事項を確認することで、PDCAサイクルが回り始めます。
この時間を作ることで期待できる3つの変化

ここまで、具体的な進め方を説明してきました。では、実際にこの時間を作ると、どのような変化が期待できるのでしょうか。
変化1:数字の話が「当たり前」になる
定期的に数字を見る習慣ができると、数字の話をすることへの心理的抵抗がなくなることが期待できます。
ビフォー:数字の話ができない状態
夫:「今月、売上厳しくない?」
妻:「・・・また数字の話? 私だって頑張ってるんだけど」
夫:「責めてるわけじゃなくて・・・」
妻:「でも、そういう言い方されると傷つく」
(以降、数字の話題を避けるようになる)
アフター:数字の話が自然にできる状態
夫:「今月、売上厳しくない?」
妻:「うん、前月より5万くらい下がってるね」
夫:「原因は何だろう?」
妻:「たぶん、天候不順かな。でも、次の日曜日に詳しく見てみよう」
夫:「そうだね。それまでに数字まとめておくね」
このように、数字が「見たくないもの」から「一緒に改善するための材料」に変わることが期待できます。
日常会話の変化(予想)
定期的に数字を見る習慣が定着すると、日常の何気ない会話も変わるでしょう。
- 営業中:
「この料理、原価高そうだけど大丈夫?」→「日曜日に確認しよう」 - 仕込み中:
「この食材、廃棄多いよね」→「次の話し合いで見直しを提案しよう」 - 閉店後:
「今日の売上良かったね」→「でも、原価率はどうだったかな」
問題が起きたときに感情的にならず、「次の日曜日に話そう」と冷静に対処できるようになることが期待されます。これは、夫婦関係にとっても非常に大きなメリットとなるでしょう。
変化2:「やるべきこと」の優先順位が明確になる
飲食店経営には、日々無数の課題が降りかかります。
- メニュー開発
- 食材の仕入れ先見直し
- スタッフ教育
- SNS運用
- 店内の模様替え
- 設備のメンテナンス
- 常連客へのフォロー
- 新規集客施策
すべてに手を付けようとすると、結局何も進みません。
限られた時間とお金の中で、何を優先すべきか ― この判断が経営者の最も重要な仕事です。
ビフォー:優先順位がバラバラの状態
夫:「今月はInstagram頑張ろうと思って」
(と言いつつ、実際は3回しか投稿せず終わる)
妻:「原価率を下げないと」
(と思いつつ、日々の忙しさでメニュー見直しに手をつけられず)
→ それぞれが別々のことを気にしているので、成果が出ない
アフター:二人で優先順位を合わせた状態 (予想)
日曜日の話し合いで決定:「今月の重点課題は原価率改善」
夫:「Instagramも気になるけど、今月は原価率を優先しよう」
妻:「うん。メニュー別の原価率、今週末までに計算するね」
夫:「じゃあ、僕は仕入れ先を3社比較してみる」
→ 二人が同じゴールに向かって動くので、確実に前進する
判断基準が明確になる
重点課題が決まっていると、日々の判断もスムーズになることが期待できます。
「この新しい食材、試してみたいけど・・・今月は原価率改善が優先だから、来月にしよう」
「イベント企画の提案が来たけど・・・今は常連客フォローに集中する時期だから断ろう」
このように、目の前の誘惑や新しいアイデアに振り回されず、「今月はこれをやる」と決めたことに集中できるようになるでしょう。
変化3:経営が「二人のもの」になる
最も大きな変化として期待できるのは、店の経営が本当の意味で「二人のもの」になることです。
ビフォー:役割分担はあるが、認識はバラバラ
多くの夫婦経営では、なんとなく役割分担ができています。しかし、それぞれが自分の担当業務に専念するあまり、店全体の経営状況を把握しているのは実質的に一方だけ、というケースが多いのです。
夫:「うちの店、今月いくら儲かった?」
妻:「えーと・・・ (通帳を見ながら) このくらいかな」
夫:「よくわからないけど、まあ、やっていけてるならいいや」
この状態では、妻だけが経営の重圧を感じ、夫は「手伝っている」感覚のままです。これは真の意味での「共同経営」ではありません。
アフター:二人とも経営者としての当事者意識を持つ
定期的に数字や課題を共有することで、二人とも経営者としての意識が芽生えることが期待できます。
夫:「先月の売上150万円で、原価率32%だから、粗利は102万円。人件費と固定費で89万円かかったから、営業利益は13万円か」
妻:「そうなの。で、原価率が高いのが課題だから、今月はそこを改善しよう」
夫:「わかった。僕も仕入れ先の見直しを手伝うよ」
このように、二人とも数字を理解し、課題を共有し、解決策を一緒に考えるようになることが期待されます。
困難に直面したときの変化
経営には必ず困難が訪れます。売上の急激な減少、予期せぬ設備故障、スタッフの突然の退職…。
こうしたときに、経営が「一人のもの」だと、お互いに不安を胸の内に抱えたまま・・・。困難を打破するために必要なコミュニケーションも生まれず、只々時が過ぎて行ってしまいます。
妻:「今月、売上が20万円も下がってる。どうしよう…」
(一人で抱え込み、夜も眠れない)
夫:「最近、元気ないけど大丈夫?」
妻:「…うん、大丈夫」
(本当は大丈夫じゃないけど、心配かけたくない)
しかし、経営が「二人のもの」になっていれば、お互いが当事者として数字に基づいた課題の共有が可能になり、経営者目線で解決に向けて動けるようになるでしょう。
妻:「今月の売上、前月より20万円下がってるね」
夫:「本当だ。何が原因だろう?」
妻:「競合店ができた影響かもしれない」
夫:「じゃあ、次の日曜日に対策を考えよう。一緒に乗り越えよう」
妻:「ありがとう。二人で考えられるって心強い」
「私たちの店」という意識
定期的に数字を見る時間を作ることで、店は「うちの店」から「私たちの店」に変わることが期待できます。
これは言葉の違いだけではありません。困難に直面したときも、「二人で始めた店だから、二人で守り抜こう」という連帯感が生まれるのです。
この連帯感こそが、長期的に店を続けていく上で何よりも大切な財産となるでしょう。
よくあるつまずきと対処法|FAQ
完璧を目指す必要はありません。つまずいても大丈夫。
以下の対処法を参考にしてください。
-
1回目から喧嘩になってしまった・・・
-
大丈夫です。むしろ普通です。次回から「禁句リスト」を二人で作り、用意しましょう。
-
決めたことを実行できなかった・・・
-
完璧主義は禁物です。「今月は50%だけ」でもOK。次回の話し合いで見直しましょう。
-
2ヶ月目でやめてしまった・・・
-
スマホなどのリマインダーを設定し直しましょう。「完全にやめた」ではなく「一時中断」と前向きに捉えましょう。今からでも再開できます。
-
数字を見ても何をすればいいかわからない・・・
-
最初はわからなくて当たり前です。まずは「前月と比べて何が変わったか」を話すだけでもOK。徐々に改善策が見えてきます。
実践ガイド|今月から始めるチェックリスト
【ステップ1】まず最初の1回だけやること
- ☐ 日時を決める (例:今月の日曜 21:00~21:30)
- ☐ スマホのカレンダーに登録
- ☐ 先月の売上データを手元に用意
- ☐ 30分だけ、夫婦で数字を見る
これだけです。最初から完璧を目指す必要はありません。
【ステップ2】禁句リストを作る (2回目の前日まで)
- ☐ 夫婦で話し合い、お互いに「言われると傷つく言葉」を共有する
- ☐ 禁句リストを紙に書き出す
- ☐ 話し合いの場所に貼っておく
【ステップ3】記録を残す
- ☐ ノートかスマホに記録
- ☐ 先月の数字、今月の重点課題、気づきを書く
- ☐ 次回の日程を確認する
【ステップ4】日常での実践 (話し合いと話し合いの間)
- ☐ 決めたタスクを実行する
- ☐ 進捗を週に1回確認し合う
- ☐ 「次の日曜日に話そう」という言葉を使って、問題を先送りせず整理する
【ステップ2】~【ステップ4】は、慣れてきたら徐々に追加していく形で大丈夫です。
まとめ|夫婦で「同じ数字」を見ることの意味
2024年の飲食店倒産件数894件 ― この数字は、飲食業界の厳しい現実を物語っています。
倒産した店舗の約9割が小規模事業者であるという事実は、「小さいから大丈夫」ではなく、むしろ「小さいからこそリスクが高い」ことを示しています。
しかし、廃業に至る店と生き残る店の違いは、決して「運」ではありません。その差は「経営の見える化」ができているかどうかによって生じていることが多いと、私の経験上感じています。
経営の見える化とは
- 数字を定期的に確認する習慣
- 課題を明確にし、優先順位をつける仕組み
- 決めたことを実行し、振り返るサイクル
そして、これらを定着させるために、夫婦経営の店にとって最も効果的な「見える化」の方法が、月1回30分、数字を見る時間なのです。
この時間を作ることで期待できる3つの変化 (再確認)
- 数字の話が「当たり前」になる
・ 問題が起きても感情的にならず、「次の日曜日に話そう」と冷静に対処できる
・ 数字が「責めるための材料」から「改善のための材料」に変わる - 「やるべきこと」の優先順位が明確になる
・ 限られた時間とお金を、本当に重要なことに集中できる
・ 「今月はこれをやる」と決めたことを、二人で確実に前進させられる - 経営が「二人のもの」になる
・ 片方だけが経営を心配する状態から、二人で支え合う関係に
・ 困難に直面しても、「一緒に乗り越えよう」という連帯感が生まれる
最後に|まずは30分だけ
「そんな時間、うちには作れない」
「忙しくて、とうてい無理」
そう思うかもしれません。しかし、考えてみてください。
30分です。たった30分、月に1回だけ、夫婦で店の未来について話す時間。
この小さな投資が、10年後、20年後の店の存続を左右するかもしれません。
何より大切なのは、夫婦で「同じ数字」を見ることです。
同じ数字を見て、同じ課題を認識し、同じ目標に向かって進む ― この「同じ」が、夫婦経営の最大の強みになります。
今月から、まずは30分だけ時間を作ってみませんか。
その小さな一歩が、店の未来を、そして夫婦の関係を、大きく変えるきっかけになるはずです。

この記事のポイント
- 夫婦経営は仕事とプライベートの境界が曖昧で、数字の話を避けがち
- 月1回30分、「先月の数字 (まず2つ)」「今月の重点課題 (1つだけ)」「気づき」を共有
- 日時・場所の固定、禁句の設定、記録を残すことで継続できる
- 数字の話が当たり前になり、優先順位が明確になり、経営が二人のものになる
- 重要なのは夫婦で「同じ数字」を見て、同じ目標に向かって進むこと
あなたのお店の「数字を見る時間」、一緒に作りませんか?
「数字を見る時間を始めたいけれど、具体的にどうすればいいかわからない」
「数字の見方や改善の進め方を教えてほしい」
「夫婦で話し合っても、いつも感情的になってしまう」
そんな悩みをお持ちの飲食店経営者の方へ。
当社では、夫婦経営・家族経営の飲食店に特化した経営支援サービスを提供しています。年商3,000万円〜1億円規模の小規模飲食店の経営改善を、これまで数多く支援してまいりました。
当社が支援できること
- 「数字を見る時間」の立ち上げサポート (議題設定、記録フォーマット提供)
- 数字の見方・読み方の個別レクチャー
- メニュー別原価率分析と改善提案
- 時間帯別損益分析 (ランチ・ディナーの採算確認)
- 月次経営レポートの作成と解説
税理士事務所との違い
当社は、税理士事務所が作成した月次試算表などをもとに、「数値をどうやって経営に活かしていくか」という観点で、現場実務に合う形で各種サポートをしています。
| 税理士 | 当社 | |
|---|---|---|
| 主な役割 | 税務申告、記帳代行 | 経営改善の実務支援 |
| 提供するもの | 月次試算表、決算書 | 改善アクションプラン |
| 相談内容 | 税金、経理処理 | 原価率改善、メニュー戦略 |
| 関わり方 | 年数回の面談 | 月次での伴走支援 |
まずはお気軽にご相談ください。初回相談は無料です。
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