お店の前で笑顔で話し合う夫婦の写真(家庭とビジネスの両立を感じさせるイメージ)。
2025年2月17日 8:00 am

【はじめに】

夫婦でお店を経営していると、つい家庭と仕事が混ざり合い、夫婦間のささいな意見のすれ違いや感情のぶつかりが知らず知らずのうちにお店全体の雰囲気やサービスに影響してしまうことがあります。

例えば、料理の仕方や接客方法について意見が合わなかったり、急なトラブルに感情的に対処してしまったりすると、お店全体の雰囲気やサービスに悪影響を及ぼしてしまいます。また、両者の意見が異なるケースでは、どちらのアイデアを採用するか決断が遅れてしまい、業務の混乱を招く可能性も生じます。

そこで大切なのは、「仕事」と「プライベート」の明確な境界線を引くことです。

この記事では、家庭とお店の境界線を明確にすることで、感情のもつれを解消し、冷静な経営判断とスムーズな運営を実現するための具体策を、実際に取り入れやすい方法でご紹介します。

1.夫婦経営の課題

夫婦経営のお店では、夫婦間のちょっとしたすれ違いが、日常の業務に影響を与える原因となっています。ここではまず、夫婦経営特有の課題を整理します。

1-1. 夫婦間のすれ違いが経営に及ぼす影響

例えば、料理の仕方や接客スタイルについて、夫婦で意見が対立すると、どちらの方法を採用すべきか結論が見出せず決断が先延ばしになり、その結果、「お客様への対応などにばらつきが出てしまう」「夫妻によって仕事の進め方が異なり従業員が戸惑う」などの現象を招いてしまいます。

実際、家族経営のお店において、夫婦間の意見が食い違ったことで意思決定が遅れ、経営効率の低下につながってしまう現場にしばしば遭遇してきました。

こうしたすれ違いは、「感情が混ざり合う家庭内」と「お店の仕事」が明確に分かれていない夫婦経営だからこそ起こりやすい課題です。

1-2. 少人数経営ならではの経営リソースの不足

夫婦だけでお店を運営している経営者に話を伺うと、マーケティングや財務管理、業務改善の知識が十分でないと感じる方が少なくありません。限られた人材と資金で経営を行う中で、その不安から、外部の専門家や経営者仲間に成功事例や具体的な経営アドバイスを求めるシーンもよく見てきました。

外部に相談相手がいて、相談時間も確保できる場合はあまり問題になりませんが、お店の切り盛りに目一杯でその他の時間を作れず、経営に関する不安も夫婦間で相談して乗り切っていくしかない状況では、その相談が営業外の家庭時間に持ち込まれてしまいがちです。

経営リソースの少なさから、経営課題がプライベートなコミュニケーションの減少につながり、それがすれ違いや意見対立を生み、新たな経営課題につながる、と課題がループしかねない環境を生みやすい点も、夫婦経営のひとつの課題です。

つまり、「いかにして家庭とビジネスの区分をしっかりと切り分けるのか?」「夫婦間で課題解決するしかない場合、どの様なやり方をすべきなのか?」という点が、トラブルを避け、業務の品質を上げるためには重要となります。

1-3. 感情と論理を分ける境界線の必要性

上記の課題は、家庭とお店の「時間」や「空間」が明確に分かれていない特有な環境であるが故に起こりやすいと言えます。逆に、「職場に家族がいない環境」で働き、「家庭に仕事仲間がいない環境」で家庭時間を過ごす方なら、この様な課題に遭遇することは「ほぼ無い」と言って差し支えないでしょう。

言い方を変えれば、夫婦・家族間の感情を左右する「家庭」と、論理的思考が求められる「ビジネス」の境界線を、夫婦経営の現場においても分けることができれば、それらの課題を表面化させずに済むわけです。

では、その境界線を作るにはどうすればよいのか、続いて解説していきます。

2.役割分担とシンプルなルール作りで混乱を防ぐ

夫婦でお店を運営する場合、それぞれの得意な分野を活かして業務を分担することが、日々の混乱を防ぐ最良の方法です。また、連絡体制やルールをシンプルに決めることで、家庭の時間とお店の時間をきっちり区別できます。

ここでは、具体的な役割分担の方法と、すぐに実践できるルール作りのアイデアをご紹介します。

2-1. 得意分野を見極めた役割分担の決め方

まず、夫婦それぞれの得意分野をリストアップしましょう。

たとえば、妻が接客や経理に長けているならその2つを担当し、夫は料理や仕入れを担当するなど、各自の強みを活かす分担を決めます。分担を決めたら、各分担範囲はその担当者が基本的に責任を負うルールとします。

一つ一つ全てのことを相談で合意し決めていくとなると、見解の相違は当然生まれるわけで、その都度揉めていては判断速度が落ちてしまい、お店の経営にとってマイナスでしかありません。

また、夫婦間のもめ事の種に育つかもしれません。

この方法は、組織において一定の決裁権を持つ中間管理職の様な立ち位置を決めていくイメージになります。

得意分野をもとに互いに相談の上決めた分担だからこそ、その最終判断には双方が一定の敬意を払えるのではないでしょうか。

紙にリスト化して朝のミーティングなど頻繁に確認するだけで、どの業務を誰が担当しているのか、意識的にも明確になり、無駄な衝突を防げます。

2-2. シンプルなルール設定で家庭とお店を分ける

次に、「お店」と「家庭」をしっかり区別するため、簡単なルールを設定しましょう。

家庭とお店の「時間」や「空間」を明確に分けることで、家族としての温かさを保ちながらも、ビジネスでは冷静な判断がしやすくなります。

忙しい毎日だと思いますが、例えば、

  • 「朝食時は家族の時間に徹し、経営課題はお店でのミーティングで議論をする」
  • 「週末の夜は家庭タイムとしてお店の話題を一切しない」
  • 「お店に入ったら、営業時間終了まで家庭の話題は持ち込まない」

など、取り決めたルールがあるだけでお互いの事前認識も変わり、感情的な衝突を未然に防ぐことができます


一方で、ルールに縛られすぎてストレスを抱えるのは本末転倒です。やむを得ず決めたルールを逸脱せざるを得ないという場合、

  • 相手の許可を得たらルール外を認める
  • ルール外を認める特例のケースを事前に決めておく

というやり方もありだと思います。

その時々の感情任せで家庭と仕事の時間を使ってしまう状況を避けるため、事前に夫婦間で共有したルールを設け、切替の基準が明確になることで、家族として家庭でのリラックス時間が確保され、翌日の仕事では冷静な判断が可能になるはずです。

2-3. スマホ・アプリを活用した情報管理のコツ

家庭の話をしている間に仕事の話題が入り込んだことがきっかけで険悪なやりとりに変わってしまう。またはその逆パターン。実際にコンサルティングの現場でよく出会ってきた光景です。

今はスマホや便利なアプリがたくさんあります。LINE、Googleカレンダー、チャットツールなど、無料で活用できるツールを使い、ご夫婦の間でも仕事用とプライベート用の連絡先やスケジュールを分ける方法がおすすめです。

プライベート用と切り離した仕事用のチャットツールやカレンダーアプリを使って、業務連絡とプライベートの連絡を形式的に分けることは非常に効果的で、今どちらのコミュニケーションをしている時間なのか、一つにまとめてやり取りしているときよりも意識がクリアになります。

例えば、LINEは最も普及したツールのひとつですが、プライベートで使っているLINEとは別で、仕事専用のメッセージアプリを利用するだけでも、情報が一ヶ所に混ざらなくなります。仕事用のLINEグループをプライベート用と分けて作ることも効果的です。

ちなみに私の経験上、LINE内で始まったけんかは後々に遺恨を残しがちです。

基本的に文字として残ってしまうので、過去の履歴を業務で確認しなければならない時など、当時の不穏なやり取りがふと目に留まりやすく、しばしば当時の不満が思い出されてしまいます。

3.もしものときに備える―トラブルを未然に防ぐための対策とチェックリスト

お店の経営においても家庭においても、どれだけ準備をしていても予期せぬトラブルは起こるもの。トラブルがきっかけとなり、夫婦でのお店運営が上手くいかなくなることも考えられます

ここでは、日々のリスクを予防・軽減し、万が一が起こったときにすぐに対応できる方法を紹介します。お店の経営も家庭も、安心して運営・生活できる仕組みづくりが円満のカギです。

3-1.毎日のリスクチェックリストでトラブルを予防しよう

お店や家庭で起こりやすい問題点をリストアップして、毎日または毎週など定期的に確認する習慣をつけましょう。

例えば、資金繰りの状況、従業員や家族の不満、意見の食い違いなど、チェック項目をシンプルにまとめたリストを作り可視化することで、夫婦揃ってトラブルを事前にキャッチできます

3-2.万が一のときのための『緊急対応マニュアル』の作り方

もしトラブルが発生した場合に備え、誰がどの連絡先に連絡するか、誰に相談するかを事前に決めておくと安心です。

具体的な連絡先リスト外部の専門家(顧問税理士や法律相談など)の情報対処の流れをマニュアルにまとめ、家族全員で共有しておくことで、いざというときに慌てずに対応できます。

3-3.定期的に見直して、いつでも準備OK!PDCAで改善する仕組み

チェックリストや緊急マニュアルは、一度作ったら終わりではありません。

定期的に家族会議やお店のミーティングで現状を振り返り、改善点を見つけるPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)を回すことで、常に最適な運営体制を維持できます。

Warning

お互いに「知ってるつもり」「わかったつもり」は、意外と「認識のずれ」や「解釈の違い」が隠れており、いざ事が起こったときに危ない。

Success

お互いが「見える形」で「共通理解」されていることがトラブル回避に繋がる

4.未来に向けたお店の改善計画―自分たちで見つける次の一手

「経営リソースの少なさ」と「相談のための時間確保の難しさ」が夫婦経営の課題である点に触れました。

自分たちに似た環境で実現した経営向上の成功事例を知ることができたら、ご自身のお店の課題解決に向けた大きなヒントになります。また、私もコンサルタントとして情報収集は日々心がけており、有用な情報はクライアント様へ積極的に提供しています。

しかし、「その情報収集の時間もままならない」という方は現実的に多いと思いますし、成功事例に頼らず、自分たちのお店の現状を自分たちの目でじっくり見直すことも同じくらい大切です。

ここでは、日々の売上や経費などのデータ、スタッフや家族の意見をもとに現状をチェックし、具体的な目標と改善計画を自分たちで立てる方法を解説します。

家庭とお店のバランスを保ちながら、着実に改善を進める一歩を踏み出しましょう。

4-1.日々の内部データやアンケートでお店の現状を客観的にチェックする

まずは、売上や原価・経費のデータ、家族やスタッフの意見などを集め、現状を「数字」や「文字」で客観的に洗い出し、把握しましょう。簡単なアンケートや、月ごとの売上・粗利を書き出すだけでも、どこに改善の余地があるかが、頭だけで考えているときより明確になります

  • 「今月の客数は前月比〇%アップした」
  • 「お客様からの意見で△△が増えてきた」

といった推移を示すデータや前年との比較データなどが客観的に可視化できると、次の一手を考える上でのヒントになります。

4-2.具体的な目標を立てるスマートなプラン作り

次に、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。

  • 「今月は先月より客数を1日あたり3名増やす」

  • 「来月は第1・第3火曜日に接客についてのミーティングを実施する」

など、無理のない達成可能な目標を立て、それに基づくアクションプランを紙に書き出します。

途方もない目標をいきなり打ち立てることは避け、実現可能と思える具体的な目標を家族全員で共有することで、モチベーションもアップします。

可能であれば次に、現状分析にもとづいて短期・中期・長期の目標を立てます。

たとえば、「来月は売上を今月の3%増に」「1年後には10%増に」「5年後には…」といった形で、3ステップにわけて測定可能な具体的目標を設定し、それを達成するためのアクションプランをまとめます。

仮に「5年後の売上を今より20%増やす」という長期目標であれば、単純計算で、1年毎に売上を4%ずつ上乗せ、1ヶ月あたりでは0.34%ずつ上乗せしていくことが出来れば実現可能となります。

「5年後に2割増し」と聞くと難易度が高そうですが、「1ヶ月で0.3%のアップ」ならご夫婦や従業員の力を合わせて実現可能に思えてきませんか?

この場合、客数UPで目標到達を目差すなら

  • 提供時間の短縮座席レイアウトの見直しによる回転率向上」
  • 店頭PRSNS活用による告知力強化」

という方法でも実現できそうですし、

単価UPで目差すなら

  • 売価の見直し
  • 「注文点数増加に繋がる新品種・新品目の開発、または店内告知の強化

という方法でも現実的に実現できそうな水準です。

4-3.毎日の小さな改善が未来を変える!定期レビューで継続力をアップ

目標設定が出来た後は、立てた計画を実行に移し、週ごとや月ごとなど定期的に進捗を確認する仕組みを作ります。

家族・従業員と定期的に家族会議やお店のミーティングを開催し、PDCAサイクルを回して、どんな小さな改善も見逃さず、持続的な成長を実現しましょう。

実践しながら振り返ることで次の一手が具体的に見え、どこを改善すると良いのか、計画が無い状態よりも話し合いが進みます

毎日の小さな工夫がやがて大きな成果につながるはずです。

【まとめ】

シンプルなルールを表現したイラスト

家族でお店を運営していると、どうしても家庭と仕事が混ざり合い、夫婦間のすれ違いや感情的な衝突が起こりがちです。

しかし、この記事でご紹介したように、シンプルな役割分担ルール作りリスク管理のチェックリスト、そして自分たちで描く改善計画を取り入れることで、家庭とお店をしっかり分け、より安定した運営を実現することができます。

これらの対策は、難しい理論ではなく、今日からすぐに実践できる具体的な方法ばかりです。


ぜひ、この記事のヒントを参考にして、家族としても経営者としても安心してお店を育てていってください!

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家族でお店を運営していると、どうしても家庭と仕事が混ざり合い、感情のぶつかり合いやすれ違いが、経営の大きなリスクとなることがあります。

そんな中、この記事でご紹介したシンプルな役割分担、ルール作り、スマホやアプリを使った情報管理、そしてトラブル予防策を実践することで、安心してお店を発展させる基盤を作ることができます。

もし「どうすれば家庭とビジネスをもっと上手に分けられるのだろう?」と感じているなら、ぜひ当社の無料相談をご利用ください。

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